日常生活で何気なく使っている「家族」「身内」「親族」という言葉。さらに法律用語として「血族」や「姻族」という言葉もありますよね。これらの違い、きちんと説明できますか?
実は私も、子どもの卒業式で「ご親族の方はこちらへ」と言われたときに、「あれ、うちの場合は親族に入るのかな?」と迷った経験があります。結婚式の招待状を作るときも「身内だけで」と言われて、具体的に誰を呼べばいいのか悩んだことも。
この記事では、これらの言葉の違いを分かりやすく解説します。冠婚葬祭や相続の場面で困らないよう、それぞれの意味と使い分け方をしっかりマスターしましょう。
関連記事
「子孫」「末裔」「後裔」「末代」の違いとは?正しい意味と使い分け方を徹底解説
「親類」「親族」「親戚」の違いや範囲を徹底解説!正しい使い分け
「本家」と「分家」の違い!関係性と使い分けを徹底解説!
「直系」「嫡流」「庶流」の違い!家系図で見る正しい使い分けと例文
「先祖」と「祖先」の違いを徹底解説!使い分けのポイント
「家族」とは
家族とは、一般的に同じ家に住んでいて、一緒に生活している人たちのことを指します。夫婦や親子、兄弟姉妹など、日常を共にする最も身近な存在ですね。
ただし、家族という言葉は法律で明確に定められているわけではありません。そのため、その範囲は人によって異なることがあります。
たとえば、大学で一人暮らしをしている子どもを「家族」と呼ぶ人もいれば、同居している人だけを「家族」と考える人もいます。また、血のつながりがなくても、精神的なつながりが強い人を「家族」と呼ぶケースもあります。
我が家の場合、子どもが小学生のときに転勤で父親が単身赴任していた期間がありました。離れて暮らしていても当然「家族」でしたし、週末に帰ってくるのを心待ちにしていました。このように、必ずしも同居していることが家族の条件ではないんですね。
家族という言葉は、法的な定義よりも、気持ちや生活の実態を重視した、とても柔軟な表現なのです。
「身内」とは
身内とは、近しい血縁関係にある人を指すことが多い言葉です。ただし、家族と同様に法律で定められた言葉ではないため、使う人によって範囲が変わります。
一般的には、親や兄弟、祖父母、子ども、孫など、自分に近い親族を「身内」と呼びます。でも面白いのは、血のつながりがなくても「身内」と呼ぶことができる点です。
たとえば、「今回は身内だけで食事会をします」と言った場合、必ずしも血縁者だけを指すわけではありません。非常に親しい友人や、同じ団体に所属する仲間を「身内」と表現することもあります。
私の友人に、学生時代からの親友を「もう身内みたいなもの」と紹介する人がいます。血はつながっていなくても、家族同然の付き合いをしている関係を表現する言葉として、身内はとても便利なんですね。
また、葬儀の場面でも「身内だけで執り行います」といった使い方をします。このときは、近い親族を中心とした限られた人たちを指しています。
身内という言葉は、客観的な基準よりも、本人の主観や関係性の深さによって決まる、とても柔軟な表現なのです。
「親族」とは
親族は、前述の家族や身内と違い、法律でしっかりと定義されている言葉です。民法では、6親等内の血族、3親等内の姻族、そして配偶者を親族と定めています。
この「親等」というのは、親族関係の距離を数字で表したものです。たとえば、自分の親は1親等、祖父母は2親等、兄弟姉妹も2親等になります。
親族という言葉は、相続や法律の手続きでよく使われます。たとえば、「親族を代表して挨拶をさせていただきます」といった場合、法的な意味での親族を指しています。
結婚式の準備をしていたとき、招待状の席次表で「親族席」をどう配置するか悩んだことがあります。このとき初めて、いとこは4親等で親族に含まれるけど、遠い親戚は親族に含まれないこともあると知りました。
親族の範囲は法律で決まっているため、相続税の計算や遺産分割、扶養義務などの法的な場面で重要になってきます。家族や身内と違って、感情や主観ではなく、明確な基準があるのが特徴です。
「血族」とは
血族とは、血のつながりがある人たちのことです。親子や祖父母、兄弟姉妹、いとこなど、血縁関係にある人が血族にあたります。
ただし、血族には2種類あります。一つは「自然血族」といって、生物学的に血がつながっている人たち。もう一つは「法定血族」といって、養子縁組によって法律上の親子関係になった人たちです。
つまり、養子と養親は実際に血はつながっていませんが、法律上は血族として扱われます。この点が、一般的なイメージとは少し違うかもしれませんね。
友人の中に、再婚相手の連れ子と養子縁組をした人がいます。法律上は血族なので、相続権も発生しますし、扶養義務も生じます。血のつながりだけではない家族の形を、法律がしっかり守ってくれているんですね。
血族は6親等まで親族として認められます。つまり、かなり遠い親戚まで、法律上は親族の範囲に含まれるということです。
「姻族」とは
姻族とは、結婚によってつながった親族のことです。具体的には、配偶者の血族や、自分の血族の配偶者を指します。
たとえば、夫から見た妻の両親や兄弟姉妹は姻族です。また、自分の兄弟の配偶者も姻族にあたります。
姻族は3親等まで親族として認められます。たとえば、配偶者の祖父母は2親等の姻族、配偶者の叔父叔母は3親等の姻族です。
姻族の特徴は、離婚によって姻族関係が解消される点です。血族は生涯変わりませんが、姻族は結婚という契約によって生まれた関係なので、離婚すれば法的な関係もなくなります。
結婚して義理の両親ができたとき、「これから姻族としてお付き合いさせていただきます」なんて言いませんが、法律的にはそういう関係になっているんですね。
また、配偶者が亡くなった場合でも、自動的には姻族関係は終わりません。姻族関係を終わらせたい場合は、役所に「姻族関係終了届」を提出する必要があります。
友人も1年無職だったけど身内がいるところで働かせてもらってる子もいるし、大学から現在までフリーターだけどちゃんと働いてる子もいるし、同じ状況のような方もいるしで生きる上で多少なりとも働くことができればそれで十分なはずなんだよね
— 🈚️ (@ggg04_) September 29, 2025
「家族」「身内」「親族」「血族」「姻族」の使い分け方
これまで見てきた5つの言葉、どう使い分ければいいのでしょうか。場面ごとに見ていきましょう。
日常会話では、「家族」や「身内」が最もよく使われます。「今週末は家族で出かけます」「身内だけで祝います」といった表現ですね。これらは柔軟に使える言葉なので、気軽に使って問題ありません。
一方、法的な書類や正式な場面では「親族」を使います。たとえば、「親族代表として署名します」「親族関係を証明する書類」といった使い方です。
「血族」と「姻族」は、特に法律や相続の場面で使われる専門的な言葉です。普段の会話ではあまり使いませんが、遺産分割協議や相続手続きでは重要になってきます。
たとえば、「6親等内の血族と3親等内の姻族が親族にあたります」といった説明で使われます。
母の相続手続きをしたとき、司法書士さんから「お母様の兄弟姉妹は2親等の血族なので、相続に関係してきます」と説明されました。このように、専門家との会話や法的な手続きで登場する言葉なんですね。
具体例で見る違い
実際の場面で、それぞれの言葉がどう使われるか見てみましょう。
結婚式の場合、招待状に「親族のみの式となります」と書けば、法的な親族の範囲を指します。一方、「家族と身内だけで挙げます」と言えば、もっとカジュアルで、範囲も人によって違う印象になります。
葬儀の場面では、「ご親族の皆様、こちらへどうぞ」という案内は、故人の血族や姻族を指しています。「身内だけで見送りました」という表現は、ごく近しい人たちだけで執り行ったという意味です。
相続の手続きでは、「血族である子どもたちが相続人になります」「配偶者の兄弟は姻族なので、この場合は相続権がありません」といった具合に、正確な法律用語として使われます。
私自身、祖父の葬儀のときに初めて親族の範囲を意識しました。受付で「ご親族ですか?」と聞かれて、「はい、孫です」と答えましたが、あとで「孫は2親等の血族だから当然親族だよね」と納得した記憶があります。
法律上の親族の範囲
親族として法律で認められる範囲は、6親等内の血族、3親等内の姻族、そして配偶者です。この範囲に含まれる人たちには、さまざまな法的効果が生じます。
たとえば、相続権が発生する場合があったり、扶養義務が生じたりします。また、親族であることが税金の計算に影響することもあります。
6親等というと、かなり遠い親戚まで含まれます。たとえば、自分のいとこの孫まで6親等になります。ただし、親等が遠くなるほど、実際の相続や扶養の場面で関係してくることは少なくなります。
一方、姻族は3親等までと、血族より狭い範囲です。配偶者の祖父母や叔父叔母までが姻族として認められ、それより遠い配偶者の親族は法的な親族には含まれません。
ちなみに配偶者は、親等では数えません。夫婦は親等ゼロではなく、親等という概念の外にある特別な関係として扱われます。
最近家が落ち着いていて
— 高身長になりたい (@spe195_) September 30, 2025
なんだよ大丈夫じゃんってなってたけど
血族やっぱりみんな頭おかしい
相続における違い
相続の場面では、家族・身内・親族・血族・姻族の違いが特に重要になります。
まず、配偶者は常に相続人になります。そして、血族の中で、子ども、親、兄弟姉妹という順番で相続権があります。
姻族には原則として相続権がありません。たとえば、夫が亡くなった場合、夫の兄弟(妻から見て姻族)には相続権がないのです。ただし、夫に子どもも親もいない場合は、夫の兄弟に相続権が発生します。
親が亡くなったとき、相続について話し合う機会がありました。そのとき改めて、「血族だから相続人になる」「姻族だから相続人にならない」という法律上の違いを実感しました。
また、養子は法定血族として扱われるため、実子と同じように相続権があります。再婚相手の連れ子でも、養子縁組をしていれば相続人になりますが、養子縁組をしていなければ相続権はありません。
このように、相続の場面では、誰が血族で誰が姻族かという法的な区別が、とても重要な意味を持つのです。
よくある質問
Q1:同居していない親も「家族」と呼んでいいの?
はい、問題ありません。家族という言葉は法律で定義されていないため、同居していなくても家族と呼んで大丈夫です。一人暮らしをしている大学生が実家の親を「家族」と呼ぶのは自然なことですし、単身赴任中の父親も当然家族です。大切なのは、生活を共にしているかどうかよりも、精神的なつながりや家族としての意識です。遠く離れていても、心でつながっていれば立派な家族ですよ。
Q2:結婚したら、相手の親は「親族」になるの?
はい、なります。結婚すると、配偶者の血族は姻族として、あなたの親族になります。たとえば、結婚相手の両親は1親等の姻族、兄弟姉妹は2親等の姻族です。姻族は3親等まで親族として認められるので、配偶者の祖父母や叔父叔母も親族になります。ただし、離婚すると姻族関係は解消されます。また、配偶者が亡くなった場合は、姻族関係終了届を出さない限り、姻族関係は続きます。
Q3:養子は「血族」に含まれるの?
はい、含まれます。養子は「法定血族」として、血族の一種になります。実際に血はつながっていませんが、法律上は血族として扱われるため、相続権や扶養義務が発生します。逆に、再婚相手の連れ子は、養子縁組をしない限り血族にはなりません。連れ子に相続権を持たせたい場合や、法的な親子関係を作りたい場合は、養子縁組の手続きが必要になります。
Q4:「身内だけで」と言われたら、どこまで呼べばいい?
これは相手や状況によって変わります。身内という言葉は法律で定義されていないため、使う人によって範囲が異なります。結婚式で「身内だけで」と言われたら、新郎新婦に具体的に誰を指すのか確認するのが一番です。一般的には、親・兄弟姉妹・祖父母など、特に近しい親族を指すことが多いですが、親戚全般を含むこともあります。迷ったら遠慮せずに聞いてみましょう。
Q5:親族でも相続権がない人はいるの?
はい、います。親族の範囲は6親等内の血族と3親等内の姻族と広いですが、相続権がある人は限られています。基本的には、配偶者、子ども(または孫など直系卑属)、親(または祖父母など直系尊属)、兄弟姉妹の順番で相続権があります。たとえば、いとこは4親等の血族で親族ですが、通常は相続権がありません。また、姻族には原則として相続権がないため、配偶者の兄弟姉妹などは相続人になりません。
「贈答品」の人気商品をレビュー件数順に楽天でチェック!まとめ
家族・身内・親族・血族・姻族の違いをまとめると、次のようになります。
家族は、一緒に暮らしている人や、精神的につながりのある人を指す柔軟な言葉です。法律での定義はなく、個人の判断で使えます。
身内も法律での定義はなく、近しい血縁関係の人や、親しい仲間を指す言葉です。主観的に使える柔軟な表現です。
親族は、6親等内の血族、3親等内の姻族、配偶者を指す法律用語です。相続や法的手続きで重要になります。
血族は、血のつながりがある人や、養子縁組による法律上の親子関係がある人を指します。6親等まで親族として認められます。
姻族は、結婚によってつながった親族で、配偶者の血族や自分の血族の配偶者を指します。3親等まで親族として認められ、離婚で解消されます。
日常会話では家族や身内を、法的な場面では親族や血族、姻族を使い分けましょう。それぞれの言葉の意味を理解しておくと、冠婚葬祭や相続の場面でも困りませんよ。