書店の文芸コーナーに足を運ぶと、「小説」「純文学」「ライト文芸」「ライトノベル」など、似たような言葉がたくさん並んでいて混乱してしまいませんか?私も本屋で働いていた頃、お客様から「これらの違いって何ですか?」と質問されることがよくありました。実際に本を読む人にとって、これらの区別は意外と重要です。なぜなら、自分の好みや読みたい気分に合った本を選ぶための大切なヒントになるからです。
この記事では、それぞれの特徴や読者層、具体的な違いについて、分かりやすくお伝えしていきます。きっと、次回本屋さんに行った時に、迷わず自分にぴったりの一冊を選べるようになりますよ。
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「小説」とは何か
小説とは、散文で書かれた物語作品のことを指します。これが一番大きな枠組みで、他のすべてのジャンルを包み込む概念です。恋愛、推理、ファンタジー、SF、歴史ものなど、内容によってさらに細かく分類されています。
小説の最大の特徴は、読者の想像力に訴えかけることです。文字だけで情景や人物の感情を表現し、読む人の心の中に豊かな世界を作り上げます。現実にはない世界を描くこともあれば、私たちの身近な日常を描くこともあります。
私が学生時代によく読んでいた小説は、主に推理小説でした。文字だけで犯人を推理していく過程がとても楽しく、最後の謎解きの瞬間にはいつも鳥肌が立ったものです。
「純文学」とは何か
純文学は、美的形成を重視し、読者目線ではないので、より深く考え、それぞれ個々の解釈を楽しめるのが特徴です。娯楽性よりも芸術性を重んじ、人間の内面や社会の本質を深く掘り下げた作品が多いのが特徴です。
純文学の作品は、起承転結のような分かりやすいストーリー展開よりも、登場人物の心情や日常の細やかな描写に重点を置いています。行間にしても意味があり、まるで芸術作品を見ているかのような気分になるような深い表現が用いられています。
芥川賞が純文学、直木賞は大衆文学を対象にしているという見分け方がよく知られています。純文学の代表的な作家としては、夏目漱石、太宰治、川端康成などが挙げられます。
私も以前、芥川賞受賞作品を読もうと挑戦したことがありますが、確かに一度読んだだけでは理解できない奥深さがありました。何度か読み返すうちに、新しい発見があるのが純文学の魅力だと感じています。
「ライト文芸」とは何か
ライト文芸は、比較的新しいジャンルで、ライトノベルと一般文芸作品の間にあるような小説の作品群を指します。「キャラクター文芸」「キャラ文芸」と呼ばれることもあり、登場するキャラクターたちの個性が際立っているのが特徴です。
ライト文芸の大きな特徴は、主な購買層と同じ20-30代以上(大学生や社会人)がメインキャラクターとなるものが主流であることです。ライトノベルよりもやや年齢層が高めの読者を想定して作られています。
コージー(日常もの)ミステリーやほっこりあたたまる良い話、泣ける恋愛もの、あやかしもの、神様ものなどを中心ジャンルとした作品が多く、心が癒されるような内容が人気です。また、カバーにイラストを用いてライトノベル的なパッケージにしていますが、多くは口絵と挿絵がありませんという特徴もあります。
実際に私もライト文芸を何冊か読んだことがありますが、読後感がとても良く、日々の疲れが癒されるような作品が多いと感じました。特に仕事で疲れた時に読むと、心がほっと軽くなります。
「ライトノベル」とは何か
ライトノベルは、「light」と「novel」を組み合わせた和製英語で、娯楽ジャンルの一つです。主要読者層は10代〜20代前半が60%以上を占め、若年層(10~20代)向けに書かれた物が多いのが特徴です。
ライトノベルの最大の特徴は、会話文も多く気軽に読み進められることです。また、挿絵がキャラクター造形を明確化し、読者の想像を方向づける効果があるなど、イラストが重要な役割を果たしています。
内容的には、学園・ゲームの世界・非日常、夢物語などを扱った作品が多く、現実とは異なるファンタジックな世界観の作品が人気です。年間20〜30作品がアニメ化され、市場規模は約300億円という大きな市場を形成しています。
私の子どもも中学生になってライトノベルを読み始めましたが、確かに文字が読みやすく、イラストもあって親しみやすそうでした。アニメ化された作品を先に見てから原作を読むこともあるようです。
それぞれの読者層と特徴を比較
読者層の違い
- 小説:全年齢層(ジャンルによって異なる)
- 純文学:大学生以上の大人、文学に造詣の深い読者
- ライト文芸:20代~30代以上の男女、特に女性
- ライトノベル:10代~20代前半の若者
文体と読みやすさの違い
純文学は文学的表現を重視し、読解に時間がかかる傾向があります。一方、ライトノベルは文体の違いで読了時間が30〜50%短縮される傾向があり、気軽に読める点が魅力です。
ライト文芸は、その中間に位置し、読みやすさを保ちながらも大人の読者に満足してもらえる内容を提供しています。
イラストや装丁の違い
- 純文学:基本的にイラストなし、シンプルな装丁
- 小説:ジャンルによって様々
- ライト文芸:表紙にイラストあり、挿絵は少なめまたはなし
- ライトノベル:表紙・挿絵ともに豊富、アニメ調のイラスト
自分に合った読み物を選ぶコツ
自分にぴったりの本を選ぶためには、まず「今の気分」を大切にしましょう。疲れている時は癒し系のライト文芸、何かワクワクしたい時はライトノベル、じっくり考えたい時は純文学、といった具合に選び分けることができます。
また、書店で実際に手に取って、最初の数ページを読んでみることもおすすめします。文体や雰囲気が自分に合うかどうかは、実際に読んでみないと分からないものです。
私の場合、仕事で疲れた平日の夜にはライト文芸、休日にゆっくり時間がある時には純文学、電車での移動時間にはライトノベル、というように使い分けています。
さらに、SNSや読書サイトでの口コミも参考になります。同じような年代や趣味の人の感想を見ることで、自分に合いそうな作品を見つけやすくなります。
新しく創作に手を出す人が増えるような予感がするのでめちゃくちゃ簡単に呟いておくと、
— こい🐹 (@miyazawa_koi) January 22, 2022
小説には
・純文学
・エンタメ
があって、
エンタメには
・文芸
・ライト文芸
・ライトノベル
があるよ!
自分が書きたい分野がどこに属するのか把握すると、色々とやりやすいと思うよ!
(※個人の感想です)
よくある質問
Q1:ライトノベルとライト文芸の一番の違いは何ですか?
一番分かりやすい違いは読者層と書店での売り場です。書店の売り場(棚)が違い、主要な想定読者層が違うのが最大のポイントです。ライトノベルはコミックコーナーに、ライト文芸は文庫コーナーに置かれることが多いです。また、ライトノベルが少年層を見据えた作風を取っているのに対し、ライト文芸は青年層を見据えた作風を取り、ライトノベルの次に手に取るジャンルとして位置づけられています。
Q2:純文学は難しくて読めないのですが、どうすればいいですか?
純文学は確かに読み応えがありますが、最初から難解な作品に挑戦する必要はありません。まずは短編集から始めたり、映画化・ドラマ化された作品を選んだりすると親しみやすくなります。また、一度で理解しようとせず、何度か読み返すつもりで気軽に手に取ってみることをおすすめします。
Q3:大人がライトノベルを読むのはおかしいですか?
全くおかしくありません。最近では10代読者だけでなく、上は40代(2020年現在では50代)の女性にまで広く読まれており、年齢を問わず楽しめるジャンルとして認識されています。読書に年齢制限はありませんし、自分が楽しめる本を読むのが一番です。
Q4:どのジャンルから読み始めるのがおすすめですか?
読書初心者の方には、まずライトノベルやライト文芸から始めることをおすすめします。読みやすく、気軽に楽しめるからです。慣れてきたら、興味のあるジャンルの一般小説に挑戦し、最終的に純文学にも手を伸ばしてみると良いでしょう。ただし、これは一つの提案であって、興味のあるものから始めるのが最も大切です。
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小説、純文学、ライト文芸、ライトノベルの違いを簡単にまとめると以下のようになります。
小説は散文で書かれた物語の総称で、すべてのジャンルを包む大きな枠組みです。純文学は芸術性を重視し、深い読解を求める文学作品です。ライト文芸は20代以上をターゲットにした読みやすい文芸作品で、心が癒される内容が多いのが特徴です。ライトノベルは10代から20代前半向けの娯楽性重視の作品で、イラストが豊富で気軽に読めるのが魅力です。
それぞれに異なる魅力があり、読者の年齢や気分、求めているものによって選び分けることができます。大切なのは、自分が楽しめる本を見つけることです。まずは気になったジャンルから気軽に手に取ってみてください。きっと、新しい読書の世界が広がりますよ。