日本語を使っていると、似ているけれど実は意味の違う言葉に出会うことがありますよね。今回取り上げる「声をかける」と「声をかけられる」も、そんな言葉の一つです。
どちらも声に関する表現ですが、実は立場や行動の方向が正反対なんです。この記事では、この2つの表現の違いや正しい使い分け方について、具体例をたくさん使って分かりやすく説明していきます。
特に、敬語を使う場面や、ビジネスシーンでの使い方など、実際の生活で役立つ情報もお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
「声をかける」と「声をかけられる」の基本的な意味
まずは、それぞれの基本的な意味から確認していきましょう。
「声をかける」の意味
「声をかける」は、自分から相手に呼びかけたり、話しかけたりすることを意味します。つまり、行動を起こすのは「自分」で、相手に向かって積極的にコミュニケーションを取ろうとする表現です。
具体的には以下のような意味があります:
- 呼びかける、話しかける
- 誘う
- 掛け声をかける、声援を送る
「声をかけられる」の意味
一方、「声をかけられる」は、他の人から呼びかけられたり、話しかけられたりすることを表す受け身の表現です。行動を起こすのは「相手」で、自分はその行動を受ける立場にあります。
能動と受動の違い – 誰が行動するかがポイント
この2つの表現の最も大きな違いは、「誰が行動を起こすか」という点です。
「声をかける」
- 自分が行動を起こす(能動的)
- 自分→相手への一方向の行動
- 意志を持って積極的に行う
「声をかけられる」
- 相手が行動を起こし、自分がそれを受ける(受動的)
- 相手→自分への一方向の行動
- 自分の意志とは関係なく起こる
私も子育てをしていて感じるのですが、子どもに「お友達に声をかけてみなさい」と言うときと、「先生に声をかけられたら、きちんと返事をしなさい」と言うときでは、子どもの立場が全く違うんですよね。
ポジティブな言葉が凶器に変わる瞬間。「大丈夫」「そのうち良くなる」「生きてればきっと楽しいことがある」って言葉が、どん底にいる人にはナイフに聞こえることもある。前向きな言葉って、余裕のある人にしか届かない。誰かに声をかけるときほど、“今その言葉が響く状態か”を考えたいよね。
— りそら (@resoral) July 21, 2025
実際の使い方と例文
では、具体的な使い方を例文で見ていきましょう。
「声をかける」の例文
日常生活での使用例:
- 「道に迷っている人に声をかけた」
- 「近所の人に声をかけて、あいさつをした」
- 「困っている様子の同僚に声をかけてみる」
誘いの場面での使用例:
- 「今度一緒に映画を見に行きませんかと声をかけた」
- 「同窓会の件で、昔の友人に声をかけてみる」
- 「新しいプロジェクトに参加しませんかと声をかけられた」
応援・励ましの場面での使用例:
- 「マラソン大会で選手に声をかけた」
- 「試合中に仲間に声をかけて励ました」
「声をかけられる」の例文
日常生活での使用例:
- 「駅で外国人観光客に道を尋ねられて声をかけられた」
- 「スーパーで知り合いに声をかけられて、立ち話をした」
- 「子どもが知らない人に声をかけられて心配になった」
ビジネスシーンでの使用例:
- 「上司に新しいプロジェクトについて声をかけられた」
- 「取引先から商談の件で声をかけられた」
- 「転職について人材紹介会社から声をかけられた」
招待・誘いを受ける場面での使用例:
- 「結婚式に声をかけられて出席することになった」
- 「地域のイベントに参加しませんかと声をかけられた」
敬語での表現方法
ビジネスシーンや目上の人との会話では、敬語を使った表現が必要になります。
「声をかける」を敬語で表現する場合
謙譲語として使う場合:
- 「お声がけいたします」
- 「お声がけさせていただきます」
- 「声をおかけします」
例文:
- 「何かご不明な点がございましたら、いつでもお声がけください」
- 「会議の件で、来週お声がけさせていただきます」
「声をかけられる」を敬語で表現する場合
尊敬語として使う場合:
- 「お声がけいただきました」
- 「声をおかけいただきました」
- 「お声がけくださいました」
例文:
- 「部長にプロジェクトの件でお声がけいただき、ありがとうございます」
- 「貴重な機会にお声がけくださり、感謝しております」
実際に会社で働いていると、この敬語の使い分けは本当に重要だと感じます。相手への敬意を示すだけでなく、自分の立場も明確にできるんです。
浴衣コーナーのアクセサリー見てたら100%声をかけられるw
— こーづま(こま) (@kouzuma24) July 29, 2025
ビジネスシーンでの使い分けのコツ
職場では、この2つの表現を正しく使い分けることで、コミュニケーションがより円滑になります。
自分から行動を起こすとき
「声をかける」を使う場面:
- 部下や同僚に何かを依頼するとき
- 取引先に提案をするとき
- 新しいメンバーに話しかけるとき
例: 「新入社員の田中さんに、今度のプロジェクトについて声をかけてみよう」
相手から行動を受けたとき
「声をかけられる」を使う場面:
- 上司から指示を受けたとき
- 取引先から連絡が来たとき
- 他部署から協力を求められたとき
例: 「人事部から人材育成の研修について声をかけられました」
文脈による使い分けの重要性
同じ状況でも、話し手の視点によって使い分けが変わることがあります。
同じ出来事を異なる視点で表現
Aさんの視点: 「Bさんに新しいカフェについて声をかけた」
Bさんの視点: 「Aさんから新しいカフェについて声をかけられた」
このように、同じ出来事でも、誰の立場から話すかによって表現が変わるのです。
第三者の視点での表現
第三者が状況を説明する場合は、どちらの表現も使えます:
- 「AさんがBさんに声をかけた」
- 「BさんがAさんに声をかけられた」
ただし、どちらを選ぶかによって、話し手がどちら側の立場に注目しているかが分かります。
間違いやすいポイントと注意点
実際の使用で間違いやすいポイントをご紹介します。
よくある間違い
×間違い:「私が部長に声をかけられました」(部長に何かを依頼した場合)
○正しい:「私が部長に声をかけました」
この間違いは、敬語を意識しすぎて起こることがあります。行動の方向をしっかり確認することが大切です。
敬語の使い方での注意点
目上の人との会話では、「声をかける」という表現自体がカジュアルすぎる場合があります。
より適切な表現:
- 「ご相談させていただく」
- 「お話しさせていただく」
- 「ご連絡差し上げる」
私も最初は敬語の使い分けで悩むことがありましたが、相手の立場と自分の立場を意識することで、だんだん自然に使えるようになりました。
類似表現との比較
「声をかける」「声をかけられる」と似た意味を持つ表現もあります。
「話しかける」「話しかけられる」
意味はほぼ同じですが、「声をかける」の方がより幅広い状況で使えます。
「呼びかける」「呼びかけられる」
より積極的で強いニュアンスがあります。
「連絡する」「連絡される」
ビジネス的でフォーマルなニュアンスがあります。
地域差や世代差による使い方の違い
日本全国で使われている表現ですが、地域や世代によって微妙な違いがあることもあります。
関西弁での表現
関西では「声かけてもらう」「声かけする」のような表現もよく使われます。
世代による違い
若い世代では「声かけ」と名詞化して使うことも多くなっています。
「LINEで声かけするね」 「声かけしてもらった」
このような使い方も、基本的な意味は変わりません。
外国人学習者にとっての難しさ
日本語を学ぶ外国の方にとって、この2つの表現の使い分けは特に難しいポイントの一つです。
混乱しやすい理由
- 文法的な違い(能動態と受動態)
- 敬語との組み合わせ
- 文脈による使い分け
覚えるコツ
「誰が動作をするか」を常に意識することが重要です。自分が動作をする場合は「声をかける」、相手が動作をする場合は「声をかけられる」と覚えましょう。
よくある質問
Q1. 「声をかけさせていただく」と「声をかけていただく」の違いは?
「声をかけさせていただく」は自分が行動を起こす場合の謙譲語で、「声をかけていただく」は相手に行動をお願いする場合の尊敬語です。
例:
- 「後日、お声がけさせていただきます」(自分から連絡する)
- 「何かありましたら、お声がけいただけますでしょうか」(相手からの連絡をお願いする)
Q2. メールで「声をかける」を使うのは適切?
ビジネスメールでは、「声をかける」よりも「ご連絡する」「お話しする」などの表現の方が適切な場合が多いです。
Q3. 「声かけ」と名詞化して使うのは正しい?
文法的には問題ありませんが、フォーマルな場面では「お声がけ」として使う方が適切です。
Q4. 受動態の「られる」が省略されることはある?
口語では「声かけされる」のように「ら」が省略されることがありますが、正式な文章では省略しない方が良いでしょう。
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「声をかける」と「声をかけられる」の違いは、行動の方向性にあります。
「声をかける」
- 自分が積極的に相手に話しかける
- 能動的な表現
- 自分の意志で行う行動
「声をかけられる」
- 相手から話しかけられる
- 受動的な表現
- 相手の行動を受ける立場
この基本を理解していれば、敬語での表現やビジネスシーンでの使い分けも自然にできるようになります。日常生活では、「誰が行動を起こすか」を意識することで、正しい使い分けができるでしょう。
言葉は生きているものなので、時代とともに使い方も変化していきますが、基本的な意味と使い分けを理解していれば、どんな場面でも適切にコミュニケーションを取ることができます。ぜひ、今回の内容を参考にして、より豊かな日本語表現を身につけてくださいね。