レストランやホテルで美味しい料理を作ってくれる人たちのことを、私たちは「コック」や「シェフ」、「料理人」など、いろんな呼び方で呼んでいますよね。でも、この3つの言葉って実は違う意味を持っているって知っていましたか?
私も以前、レストランでアルバイトをしていた時に、お客様から「シェフによろしくお伝えください」と言われたのに、実際に働いている方は「コック」という立場だったことがあり、恥ずかしい思いをしたことがあります。
この記事では、そんな混同しやすい「コック」「シェフ」「料理人」の違いについて、分かりやすく解説していきます。正しい使い分けを知れば、レストランでもスマートに会話できるようになりますよ!
関連記事
「シェフ」と「スーシェフ」の違い!役割から給料まで徹底解説
「コック」とは何か?基本的な意味と役割
コックとはオランダ語で「料理人」のことを示す言葉です。料理を作ることが主な仕事で、レストランやホテルの厨房で調理に関するあらゆる作業を担当しています。
コックは英語の「cook(クック)」から来ている言葉で、基本的には料理を作る人全般を指します。フライパンを振って炒め物を作ったり、スープを煮込んだり、お皿に美しく盛り付けたりと、実際に手を動かして料理を作る人たちのことですね。
シェフはフランス語、コックはオランダ語が語源であるように、どちらも西洋料理のレストランに勤める料理人のことを指しています。つまり、コックは主に西洋料理を作る料理人に使われる呼び方なんです。
私が学生時代にイタリアンレストランでアルバイトをしていた時、厨房で働く方々は皆「コック」と呼ばれていました。パスタを茹でる人、ピザを焼く人、サラダを作る人など、それぞれ専門の役割はありましたが、みんなまとめて「コック」という呼び方でした。
「シェフ」とは何か?責任者としての特別な立場
シェフとはフランス語でコックたちをまとめる総料理長のことを言います。つまり、シェフは単なる料理人ではなく、厨房全体を管理する責任者のことなんです。
シェフの主な仕事は以下のようなものです:
- メニューの考案と開発
- 食材の選定と発注
- コックたちの指導と教育
- 料理の品質管理
- 厨房全体の管理と運営
コックとは異なり、シェフはリーダー的役割を示しているため、お店には一人しか在籍していません。これがコックとシェフの大きな違いの一つです。
私の知り合いの方が経営するフレンチレストランでは、シェフが毎日朝早くから市場に出向いて新鮮な食材を選び、その日のメニューを決めていました。そして、コックたちに調理方法を指示し、出来上がった料理の味や盛り付けを最終チェックしていたのを覚えています。まさに厨房の司令塔のような存在でした。
「料理人」とは何か?最も広い意味での職業名
「料理人」は、料理を作ることを職業としている人全般を指す、最も広い意味の言葉です。和食、洋食、中華など、料理のジャンルを問わず使える便利な呼び方ですね。
日本料理については、料理人をシェフとコックではなく、親方と板前と呼ぶという違いがあります。つまり、日本料理の世界では「コック」や「シェフ」という言葉はあまり使わず、「料理人」や「板前」「板長」という呼び方が一般的です。
料理人という言葉は、とても幅広く使えます:
- 日本料理の料理人
- フランス料理の料理人
- 中華料理の料理人
- 家庭料理を作る料理人
- パティシエ(お菓子の料理人)
どんな分野の料理を作る人でも「料理人」と呼ぶことができるので、迷った時はこの言葉を使えば間違いありません。
これは本当に昔から思っていてテレビでも洋食系のレストランで働いているコックさんみんなシェフかのように呼んでいるのが違和感しかない
— げんたろう (@o6GK0EPtP4FPc63) August 11, 2025
シェフと呼ばれるべきひとはフランス料理店の料理長だけなのだ
イタリアンや他洋食も、ましてや和食の料理長も本来シェフとは呼ばないのだ😤 pic.twitter.com/DmkASKiTq3
コック・シェフ・料理人の明確な違いと使い分け
ここまでの説明をまとめると、3つの言葉の違いは次のようになります:
コック:主に西洋料理の調理を担当する料理人。実際に手を動かして料理を作る人。一つのお店に複数人いることが多い。
シェフ:厨房の責任者。料理長。メニュー開発や食材選び、スタッフ指導などを行う。一つのお店に基本的に一人だけ。
料理人:料理を作ることを職業とする人全般。和洋中問わず、どんな料理を作る人にも使える。
立場の関係で表すと、「シェフ > コック」という上下関係があります。シェフがコックたちを束ねる構造になっているんですね。
私の経験では、高級レストランほどこの区別がはっきりしていて、カジュアルなお店では「みんなコック」「みんな料理人」と呼ばれることが多かったです。
実際の使い分け例文とシーン別の使い方
日常生活でよく使われる場面での例文をご紹介します:
コックを使った例文
- 「このレストランのコックさんは腕が良い」
- 「息子がフレンチレストランでコックとして働いている」
- 「コックの経験を積んで、いずれはシェフになりたい」
シェフを使った例文
- 「このお店のシェフが考案したコース料理は絶品だ」
- 「有名シェフが監修したメニューが人気」
- 「シェフが直接テーブルに挨拶に来てくれた」
料理人を使った例文
- 「祖父は和食の料理人だった」
- 「料理人を目指して専門学校に通っている」
- 「腕の良い料理人が作る料理は何でも美味しい」
レストランでお食事をする際は、「シェフによろしくお伝えください」と言えば、そのお店の料理長に敬意を表すことができます。一方、「コックさん、美味しかったです」と言うと、実際に調理を担当した方への感謝を表すことになります。
語源から見る言葉の成り立ちと歴史
これらの言葉がどこから来たのかを知ると、違いがもっと分かりやすくなります。
コックの語源 コックはオランダ語で「料理人」のことを示す言葉で、江戸時代に日本に伝わりました。当時、オランダとの貿易が盛んだったため、西洋料理を作る人をオランダ語で呼ぶようになったんですね。
シェフの語源 シェフはコック長、つまり料理長のことで、フランス語の「chef」からきています。フランス語の「chef」は「頭(かしら)」という意味で、英語の「chief(チーフ)」と同じ語源です。つまり、「頭」や「長」という意味が込められているんです。
料理人の語源 「料理人」は日本語の言葉で、「料理」と「人」を組み合わせたものです。最もシンプルで分かりやすい表現ですね。
これらの語源を知ると、なぜシェフが「責任者」で、コックが「調理担当者」なのかがよく分かります。言葉の成り立ちからも、それぞれの役割の違いが見えてくるんですね。
日本料理の世界での特殊な呼び方
日本料理については、料理人をシェフとコックではなく、親方と板前と呼ぶという違いがあります。日本料理の世界は独特の文化があり、西洋料理とは違う呼び方をします。
日本料理での呼び方
- 板前(いたまえ):日本料理の料理人
- 板長(いたちょう):日本料理の料理長(シェフに相当)
- 親方(おやかた):ベテランの料理人、指導者
私の祖父は昔、老舗の割烹料理店で働いていましたが、そこでは「板前さん」「板長さん」という呼び方が当たり前でした。「コックさん」なんて呼んだら、「ここは日本料理だよ」と笑われてしまいそうです。
最近では、日本料理の世界で、板前(料理人)を「コック」と呼ぶことはないが、「シェフ」の呼称が使われることは増えてきているとのことです。時代とともに、言葉の使い方も少しずつ変化しているんですね。
現場での実際の役割と責任範囲
実際の厨房では、コックとシェフはどのような役割分担をしているのでしょうか。私がレストランで働いた経験をもとに、具体的にご説明します。
コックの日常業務
- 食材の下処理(野菜を切る、魚をさばくなど)
- 調理作業(炒める、煮る、焼くなど)
- 盛り付け作業
- 厨房の清掃と整理整頓
- 食材の在庫管理(指示された範囲で)
シェフの日常業務
- メニューの企画・開発
- 食材の仕入れ先選定と品質チェック
- コックたちのシフト管理
- 料理の味や盛り付けの最終チェック
- お客様への料理説明(特別な場合)
- コスト管理と売上分析
私が働いていたレストランでは、シェフは朝一番に来て食材をチェックし、その日の特別メニューを決めていました。そして、コックたちに調理方法を詳しく説明し、忙しい時間帯には自らも調理に参加していました。まさに「プレイングマネージャー」のような存在でした。
料理人同士、分かり合えるものがあればいい。 pic.twitter.com/QHD8pAxQ6d
— らっこさん (@RRaaccosaaan) September 12, 2025
年収や待遇の違いについて
気になる待遇面での違いも見てみましょう。一般的に、責任の重さと専門性に応じて待遇も変わってきます。
シェフの特徴
- より高い年収(経験と実績による)
- メニュー開発の裁量権
- スタッフ管理の責任
- お店の経営に関わる場合もある
コックの特徴
- 経験と技術に応じた年収
- 専門分野での技術向上が重要
- シェフへのキャリアアップの道
- 複数の専門分野を学べる機会
私の知り合いの方は、コックとして10年働いた後、独立してシェフになりました。「コック時代は技術を磨くことに集中できたが、シェフになってからは料理以外のことも覚える必要がある」とおっしゃっていました。どちらにもそれぞれの大変さと魅力があるんですね。
よくある質問
Q1. オーナーシェフって何ですか?
A1. オーナーシェフとは、お店を経営しながら料理長も務める人のことです。つまり、経営者でありながら、同時に厨房の責任者でもある人を指します。小さなレストランでは、オーナーが直接料理を作ることも多く、このような場合にオーナーシェフと呼ばれます。経営と料理の両方に責任を持つ、とても大変な立場です。
Q2. 家庭で料理を作る人もコックやシェフと呼んでいいの?
A2. 一般的には、家庭で料理を作る人は「コック」や「シェフ」とは呼びません。これらの言葉は職業として料理に携わる人に使われる専門用語だからです。家庭では「料理を作る人」「お母さん」「お父さん」などと呼ぶのが自然ですね。ただし、ジョークとして「我が家のシェフ」なんて言うことはありますが、正式な使い方ではありません。
Q3. 中華料理店ではシェフやコックと呼ぶの?
A3. ホテルなどにある高級中華料理店でも、シェフやコックという呼び名が採用されていますが、町中華のような小さなお店では使われません。高級中華レストランでは「シェフ」「コック」という呼び方も使われますが、一般的な中華料理店では「料理人」「調理師」と呼ぶことが多いです。お店の規模や格式によって呼び方が変わるんですね。
Q4. パティシエもシェフと呼ぶの?
A4. パティシエ(お菓子の専門家)の場合、責任者であれば「シェフパティシエ」と呼ばれることがあります。また、単に「シェフ」と呼ばれることもあります。ただし、一般的には「パティシエ」という専門名称があるので、そちらを使うことが多いです。料理の世界では、専門分野ごとに特別な呼び方があることも覚えておくといいでしょう。
Q5. コックからシェフになるにはどうすればいいの?
A5. コックからシェフになるには、まず調理技術を十分に身につけることが大切です。その後、メニュー開発、食材管理、スタッフ指導などの管理業務を学ぶ必要があります。多くの場合、副料理長などの中間管理職を経験してからシェフになります。また、経営の知識も必要になることが多いので、料理以外の勉強も重要です。何年もかけて経験と知識を積み重ねていく、長期的なキャリアパスが必要ですね。
「牛肉」の人気商品をレビュー件数順に楽天でチェック!まとめ
「コック」「シェフ」「料理人」の違いをまとめると次のようになります:
コックは主に西洋料理を作る調理担当者で、実際に手を動かして料理を作る人です。一つのお店に複数人いることが多く、オランダ語が語源となっています。
シェフは厨房の責任者・料理長で、メニュー開発や食材選び、スタッフ管理を行います。一つのお店に基本的に一人だけで、フランス語の「頭」という意味から来ています。
料理人は料理を職業とする人全般を指す最も広い意味の言葉で、和洋中問わず使えます。迷った時はこの言葉を使えば間違いありません。
これらの違いを理解していれば、レストランでの会話もより適切にできますし、料理の世界への理解も深まります。次回レストランに行った時は、ぜひこの知識を思い出してみてくださいね。きっと、より豊かな食事の時間を過ごせるはずです。