「お菓子買ってきて」と「駄菓子買ってきて」では、何が違うのでしょうか。普段何気なく使っている言葉ですが、実はこの2つにはしっかりとした違いがあります。私も子供の頃、駄菓子屋さんに通いながら、ふとこの違いを考えたことがありました。今回は、似ているようで全く異なる「お菓子」と「駄菓子」の違いについて、わかりやすく解説していきます。
「お菓子」とは
「お菓子」とは、食事以外に食べる甘いものや嗜好品全般を指す言葉です。もともと「菓子」という言葉は、果物を意味していました。しかし、茶菓子として甘いお菓子が作られるようになってから、果物は「水菓子」、それ以外の甘い食べ物を「お菓子」と呼ぶようになったのです。
現代の私たちが普段口にするお菓子には、さまざまな種類があります。和菓子なら饅頭や羊羹、餅菓子など、洋菓子ならチョコレートやビスケット、キャンディ、ケーキ、アイスクリームなどが含まれます。
つまり、お菓子は「食事以外に食べる甘いもの全般」という、とても広い意味を持つ言葉なのです。
「駄菓子」とは
「駄菓子」とは、お菓子の中でも特に安価で庶民的なお菓子を指す言葉です。この「駄」という文字には、「価値が低い」「粗末な」という意味があります。
駄菓子の歴史は江戸時代にまでさかのぼります。当時、白砂糖はとても貴重で高価なものでした。白砂糖を使って作られた高級なお菓子は「上菓子」と呼ばれ、武家や身分の高い人たちが食べるものとされていました。
一方、庶民が口にできたのは、麦やひえ、あわ、くず米などの安い材料に、黒砂糖や水飴を混ぜて作った安価なお菓子でした。これが「駄菓子」の始まりです。江戸時代には「一文菓子」「番太郎菓子」「雑菓子」などとも呼ばれていました。
一文は現在の価値で約12円程度。当時のそば一杯が15文だったことを考えると、本当に安価なお菓子だったことがわかります。
昭和20年代頃から駄菓子は黄金期を迎え、駄菓子屋さんは子供たちの社交場として大人気でした。うまい棒やよっちゃんイカ、ラムネ、べっこう飴など、今でも愛されている駄菓子はこの時代に生まれたものが多いのです。
「お菓子」と「駄菓子」の主な違い
ここでは、お菓子と駄菓子の具体的な違いを見ていきましょう。
1. 価格の違い
最も大きな違いは価格です。駄菓子は10円から100円程度の安価な価格帯が基本です。一方、一般的なお菓子は100円から数百円、高級なものになると数千円するものもあります。
2. 材料の違い
駄菓子は、もともと黒砂糖や雑穀、くず米など安価な材料で作られてきました。対して、お菓子全般では良質な材料や高級な素材を使うものも多くあります。
3. 対象年齢の違い
駄菓子は主に子供向けのお菓子として発展してきました。少ないお小遣いで買える価格設定になっているのが特徴です。お菓子は子供から大人まで幅広い年齢層を対象にしています。
4. 販売場所の違い
駄菓子は駄菓子屋さんで量り売りやバラ売りされることが多いです。最近ではスーパーやコンビニでも売られていますが、個包装で複数個セットというより、1個単位で買えるものが駄菓子らしさです。
お菓子は百貨店、スーパー、コンビニ、専門店など、さまざまな場所で販売されています。
5. 位置づけの違い
重要な点として、駄菓子はお菓子の一部です。つまり、駄菓子もお菓子に含まれますが、すべてのお菓子が駄菓子というわけではありません。駄菓子は「安価で庶民的なお菓子」という特定の条件を満たしたものなのです。
駄菓子の問屋に立寄り
— くろねこ (@pav20182) December 16, 2025
カレーあられ買った😁 pic.twitter.com/6FU3mHwtP7
「お菓子」と「駄菓子」の使い分け方と例文
実際の会話では、どのように使い分ければよいのでしょうか。具体的な例文で見てみましょう。
お菓子を使う例文
「今日のおやつにお菓子を買ってきて」 → 特に種類や価格を限定しない、幅広い意味で使います。
「お客様にお出しするお菓子を探しています」 → 来客用など、ある程度きちんとしたものを指す場合に使います。
「デパ地下でお菓子を見るのが好き」 → 高級なものも含む、お菓子全般を指します。
「バレンタインにお菓子を作る」 → 手作りのお菓子や洋菓子などを指す場合に使います。
駄菓子を使う例文
「駄菓子屋さんで100円分買ってきた」 → 安価な子供向けのお菓子を指します。
「懐かしい駄菓子を食べたくなった」 → 昔ながらの安価なお菓子を指します。
「駄菓子の詰め合わせをイベントで配る」 → 予算を抑えたい場合や、懐かしさを演出したい場合に使います。
「子供の頃は駄菓子屋さんに毎日通っていた」 → 子供が少額で買える安いお菓子を指します。
我が家でも、子供が「駄菓子買いたい」と言うときは、だいたい10円や30円のうまい棒やラムネのことを指しています。一方で「お菓子食べたい」と言うときは、ポテトチップスやチョコレート菓子など、もう少し値段の高いものを欲しがっている場合が多いです。この使い分けは、子供たちも自然に身につけているようです。
よくある質問
Q1. スーパーで売っている100円のお菓子は駄菓子ですか？
スーパーやコンビニで売られている100円程度のお菓子は、必ずしも駄菓子とは限りません。駄菓子は価格だけでなく、その歴史的な背景や庶民的な性格、販売形態なども含めた総合的な特徴で判断されます。
たとえば、うまい棒やよっちゃんイカのように、もともと駄菓子屋さんで売られていたものは、コンビニで買っても駄菓子と呼ばれます。一方、大手メーカーが作る一口サイズのチョコレートなどは、同じ100円でもお菓子と呼ばれることが多いです。
Q2. 高級和菓子も駄菓子の仲間ですか？
いいえ、高級和菓子は駄菓子には含まれません。和菓子の中には、駄菓子から発展して高級品になったものもあります。例えば、どら焼きや最中、蒸し羊羹などは、もともと庶民的なお菓子でしたが、製法の改良や材料の吟味によって高級菓子の仲間入りを果たしました。
しかし、一度高級化したものは、もはや駄菓子とは呼ばれません。駄菓子は「安価で庶民的」という特徴を持ち続けるものを指すのです。
Q3. 駄菓子という呼び方は失礼ではないですか？
「駄」という文字に「粗末な」という意味があるため、気になる方もいるかもしれません。しかし、現代では駄菓子という言葉は愛情を込めて使われています。
駄菓子には、子供時代の懐かしい思い出や、少ないお小遣いで工夫して買い物をした楽しい記憶が詰まっています。また、安価でありながら工夫を凝らした味や見た目で、多くの人々を楽しませてきました。
私自身も、駄菓子という言葉を聞くと、友達と駄菓子屋さんに行って、どれを買おうか迷った楽しい時間を思い出します。駄菓子は日本の食文化の一部として、誇りを持って使える言葉だと思います。
Q4. 最近の子供も駄菓子を食べるのですか？
はい、今でも駄菓子は子供たちに人気があります。昔ながらの駄菓子屋さんは減りましたが、スーパーやコンビニ、ドン・キホーテなどで駄菓子コーナーが設けられています。
うまい棒やラムネ、グミ、チロルチョコなど、時代に合わせて進化した駄菓子も登場しています。また、最近では大人向けの駄菓子バーや、駄菓子を大量に詰め合わせた通販商品も人気です。
我が家の子供たちも、遠足や友達との遊びのときには、駄菓子を買って持っていくことが多いです。安価で種類が豊富なので、友達同士で交換したり分け合ったりする楽しみがあるようです。
「お菓子」の人気商品をレビュー件数順に楽天でチェック！まとめ
「お菓子」と「駄菓子」の違いをまとめると、次のようになります。
お菓子は、食事以外に食べる甘いものや嗜好品全般を指す広い意味の言葉です。和菓子から洋菓子まで、あらゆる種類のお菓子を含みます。
駄菓子は、お菓子の中でも特に安価で庶民的なお菓子を指します。江戸時代に安い材料で作られた庶民のお菓子が起源で、主に子供向けの10円から100円程度の価格帯のものです。
つまり、駄菓子はお菓子の一部であり、すべてのお菓子が駄菓子というわけではありません。駄菓子は「安価で庶民的」という特定の条件を満たしたお菓子なのです。
日常会話では、幅広いお菓子全般を指すときは「お菓子」、安価で懐かしい子供向けのお菓子を指すときは「駄菓子」と使い分けるとよいでしょう。
どちらも日本の食文化を彩る大切な存在です。時には高級なお菓子で特別な時間を楽しみ、時には懐かしい駄菓子で童心に返る。そんな使い分けができると、お菓子の時間がもっと豊かになりますね。
