普段何気なく使っている「並走」と「並行」という言葉。どちらも「へいそう」「へいこう」と読み、同時に何かが進む様子を表しますが、実は使い分けに少しポイントがあるんです。
私も子育てと家事をこなしながら、資格取得の勉強をしていた時期があって、このときよく「並行して頑張っている」と言っていました。でも、マラソン選手がお互いに抜かすことなく走っている様子を見た時は「並走している」と表現していたんですよね。
この記事では、似ているようで微妙に違う「並走」と「並行」について、具体的な違いや使い分け方、例文をわかりやすく解説していきます。日常会話やビジネスシーンでも使える内容なので、最後まで読んで言葉選びの参考にしてくださいね。
「並走」とは
めっちゃ綺麗に並走して来て草 pic.twitter.com/K8b81526iz
— じーぶいてーつ (@GV_tetsu) December 7, 2025
「並走」は、人や乗り物などが同じ方向に向かって、ほぼ同じ速さで横に並びながら走ることを指します。「へいそう」と読み、物理的に横に並んで進む様子を表現する言葉です。
この言葉の特徴は、横に並んで進んでいることと、速度がほぼ一致していることの2つの条件を満たす必要がある点です。例えば、マラソンでトップを争う選手たちが肩を並べて走っている様子や、高速道路で車が隣の車線と同じスピードで走っている状態などが「並走」にあたります。
また、比喩的な意味として、複数のプロジェクトや計画が同時進行で進む状況を表す場合にも使われます。例えば、新しいシステムを導入する際に、古いシステムと新しいシステムを一定期間同時に動かすことを「並走させる」と表現することがあります。
私の子供が通う学校の運動会で、徒競走のゴール直前まで2人の子供が全く同じペースで走っていた時、思わず「あの2人、並走してるね」と話した記憶があります。実際に横並びで進んでいる様子が目に見えるときに使いやすい言葉だなと感じました。
「並行」とは
今日からは天丼と並行してTKGの準備など🙌 pic.twitter.com/OSRRDrulZF
— のちか No-ticca®︎ (@no_ticca) December 19, 2025
「並行」は、2つ以上のものが並んで進むこと、または2つ以上の物事が同時に行われることを意味します。「へいこう」と読み、物理的な横並びだけでなく、時間的な同時進行も表現できる幅広い言葉です。
この言葉は「並んで行く」という漢字の組み合わせから、連れ立って同じことをする様子を表します。物体に対して使うこともあれば、仕事や作業など目には見えないものに対しても使うことができます。
「並行」のもう一つの重要な意味は、複数のタスクやプロジェクトを同時に進めることです。例えば、本業と副業を同時に行うことや、2つのプロジェクトを同じ時期に進めることを「並行して進める」と表現します。この使い方が現代では最も一般的で、ビジネスシーンでもよく耳にする表現です。
私自身、育児をしながら家計簿をつけたり、夕飯の準備をしながら洗濯物を畳んだりと、いくつもの作業を同時にこなすことがよくあります。こういった日常の場面でも「並行して作業している」と表現できるんですよね。
ちなみに、「並行」と似た漢字で「平行」という言葉もありますが、これは数学用語で、2つの直線が交わることなく進む状態を指します。数学の授業で習う「平行四辺形」などがこちらの漢字を使います。
「並走」と「並行」の違い
「並走」と「並行」の最も大きな違いは、物理的な横並びの状態を強く意識するかどうかという点です。
「並走」は、実際に横に並んで走っている状態を表すことに重点が置かれています。速度がほぼ同じで、横並びの位置関係を保っている必要があります。例えば、自転車で友達と横に並んで走る場合や、電車と並行する線路を新幹線が走る様子などは「並走」がぴったりです。
一方、「並行」は、横並びの物理的な位置関係よりも、時間的な同時進行に重点があります。2つ以上のことが同時期に行われていれば、物理的に横並びでなくても「並行」と表現できます。
例えば、「仕事と趣味を並行する」という場合、物理的に横並びで何かをしているわけではなく、同じ時期に両方を続けているという意味になります。
また、具体的な使い分けとして、物理的に走る、移動するという動作が伴う場合は「並走」を使い、複数のタスクや活動を同時期に行う場合は「並行」を使うと覚えておくと便利です。
私がママ友と話していて気づいたのですが、子供の習い事について「水泳とピアノを並行してやっている」と言うのは自然ですが、「並走してやっている」とは言いませんよね。このように、実際の動きを伴わない場合は「並行」を使うのが自然です。
ただし、ビジネスシーンでプロジェクトを同時進行する場合は、どちらも使われることがあり、「新旧システムを並走させる」「2つの案件を並行して進める」といった表現はどちらも耳にします。この場合は、ほぼ同じ意味として使われていると考えて良いでしょう。
「並走」の使い方と例文
「並走」は主に、物理的に横並びで進む状態や、複数のシステムやプロジェクトが同時に動いている状態を表す際に使います。
例文をいくつか見てみましょう。
マラソン大会でトップの2人の選手が最後まで並走し、ゴール直前で激しいデッドヒートを繰り広げた。
高速道路で隣の車線の車と並走していると、つい速度が上がってしまうので注意が必要だ。
新システム導入時には、旧システムと3ヶ月間並走させて、問題がないか確認する予定です。
子供と一緒に自転車で並走しながら、交通ルールを教えている。
このように、実際に横に並んで移動している様子や、システムが同時稼働している状態を表現する際に「並走」を使います。
私の体験談ですが、子供が自転車の練習をしていた時、私も自転車で隣を並走しながらサポートしていました。この時は物理的に横並びで進んでいたので、まさに「並走」という表現がぴったりでした。
また、会社でシステムの切り替え作業に関わった経験のある方なら、新旧システムを並走させる期間があったことをご存じかもしれません。このような使い方もビジネスシーンでは一般的です。
「並行」の使い方と例文
「並行」は、複数の物事を同時に進める場合や、物理的に並んで進む場合に幅広く使える言葉です。特にビジネスシーンや日常生活で複数のタスクをこなす際によく使われます。
例文をいくつか見てみましょう。
本業と並行して副業を始めたら、時間管理が大変になった。
育児と家事を並行して進めるのは本当に大変だけど、工夫しながら頑張っている。
2つのプロジェクトを並行して進めることで、効率よく業務を進められる。
線路に並行して道路が走っている区間がある。
ダイエットと筋トレを並行して行うことで、健康的な体づくりを目指している。
このように、「並行」は時間的な同時進行を表す場合に特に便利な言葉です。
私自身、毎日の生活の中で複数のことを並行してこなすことが当たり前になっています。朝は子供の朝食準備と並行してお弁当を作り、夕方は夕飯の準備と並行して洗濯物を取り込む、といった具合です。
また、資格試験の勉強をしていた時期には、家事育児と並行して勉強時間を確保するのに苦労しました。こういった日常の場面でも「並行」という言葉は本当によく使えるんですよね。
ビジネスシーンでは「複数の案件を並行して対応する」「開発と営業を並行して進める」といった使い方が一般的です。現代の忙しいビジネスパーソンにとって、複数のタスクを並行してこなすスキルは必須とも言えますね。
よくある質問
Q1：「並走」と「並行」はどちらを使っても間違いではないの？
多くの場合、どちらを使っても意味は通じますが、より正確に使い分けるなら次のように考えてください。物理的に横並びで走る、移動するという動作が伴う場合は「並走」を使うのがより適切です。例えば、マラソンで選手が横並びで走る様子や、車が隣の車線と同じ速度で走る場合などです。
一方、複数の仕事やタスクを同時期に進める場合は「並行」を使うのが一般的です。「仕事と趣味を並行する」「2つのプロジェクトを並行して進める」といった使い方ですね。
ただし、ビジネスシーンでシステムの移行時などは「新旧システムを並走させる」という表現も広く使われており、この場合は「並行」と置き換えても意味は変わりません。
Q2：「併行」という漢字もありますが、「並行」とどう違うの？
「併行」と「並行」は、実は辞書では同じ意味として扱われています。どちらを使っても間違いではありません。ただし、一般的には新聞などのメディアでは「並行」が使われることが多く、日常でもこちらの方がよく目にします。
「併」という漢字には「あわせる」「ならべる」という意味があり、「並」とほぼ同じニュアンスです。そのため、「併行して進める」と書いても「並行して進める」と書いても意味は同じです。
迷った場合は、より一般的な「並行」を使っておけば問題ないでしょう。
Q3：英語では「並走」と「並行」はどう表現するの？
「並走」は英語で「run side by side」や「run parallel」と表現できます。物理的に横並びで走る様子を表します。
「並行」は、文脈によって表現が変わります。物理的に並んで進む場合は「run parallel」、複数のタスクを同時に進める場合は「work on multiple projects simultaneously」や「do something in parallel」といった表現が使われます。
ビジネスシーンで「プロジェクトを並行して進める」という場合は「proceed with projects in parallel」や「handle multiple projects concurrently」といった表現がよく使われます。
Q4：「平行」という言葉との違いは？
「平行（へいこう）」は数学用語で、2つの直線が交わることなく、どこまで進んでも一定の距離を保ち続ける状態を指します。「平行四辺形」や「平行線」などの言葉で使われます。
一方、「並行」は、おおよそ同じ方向に並んで進んでいれば良く、必ずしも交わらないとは限りません。例えば、「線路と並行に道路が走る」という場合、途中で交差する可能性もあります。
「平行」は主に幾何学的な意味で使われ、「並行」は日常生活やビジネスでの同時進行を表す際に使われることが多いです。
「言葉」の人気商品をレビュー件数順に楽天でチェック！まとめ
「並走」と「並行」は、どちらも何かが同時に進む様子を表す言葉ですが、使い分けのポイントがあります。
「並走」は、物理的に横並びで走る状態や、システムなどが同時稼働している状態を表す際に使います。横に並んでいることと、速度がほぼ同じであることが重要なポイントです。
「並行」は、より幅広く、複数の物事を同時に進める場合や、物理的に並んで進む場合にも使える言葉です。特に時間的な同時進行を表す際に便利で、日常生活やビジネスシーンでよく使われます。
簡単に言えば、実際に横並びで走る動作があるときは「並走」、複数のタスクを同時期にこなすときは「並行」と覚えておくと使い分けやすいでしょう。
日常会話やビジネスシーンで、この2つの言葉を正しく使い分けることで、より正確で伝わりやすいコミュニケーションができるようになります。ぜひ意識して使ってみてくださいね。
