ホームセンターで外構のDIYをしようと思ったときや、家のリフォームについて調べているとき、「セメント」「モルタル」「コンクリート」という言葉がよく出てきますよね。どれも灰色でざらざらした感じが似ているので、一体何が違うのか混乱してしまうことってありませんか。
実はこの3つ、見た目は似ていますが、作り方や使い道がまったく違うんです。建築の専門家でなければ、正確な違いを説明できる人は少ないかもしれません。でも大丈夫、この記事を読めば、それぞれの特徴や使い分けがしっかりわかるようになりますよ。
私自身、自宅の玄関アプローチを整備しようとしたときに「セメントを買えばいいのかな」と勘違いして、お店の人に「セメントだけでは固まりませんよ」と教えてもらった経験があります。恥ずかしい思いをしましたが、それがきっかけでこの3つの違いをしっかり学ぶことができました。
この記事では、それぞれの材料の基本、違い、使い分け方、実際の使用例まで、わかりやすく解説していきます。
「セメント」とは
セメントは、建築材料の基本となる粉末状の素材です。石灰石や粘土を高温で焼いて粉末にしたもので、単体では何も作れません。水を加えることで化学反応を起こして固まる性質を持っています。
よく勘違いされるのですが、セメントは「材料」であって「完成品」ではないんです。小麦粉のようなもので、それだけではパンやケーキにならないのと同じイメージですね。
セメントの主な特徴は次の通りです。
粉末状の素材:袋に入って売られており、そのままでは使えません。他の材料と混ぜ合わせることで、初めて建築材料として機能します。
接着剤の役割:水と反応することで硬化する性質があり、砂や砂利を固めて接着する役割を果たします。
種類が豊富:一般的に使われるのはポルトランドセメントという種類ですが、用途に応じてさまざまな種類が存在します。
実は、セメントという言葉は建築分野だけでなく、歯科医療でも使われています。歯医者さんで「セメント練って」という指示を聞いたことがある方もいるかもしれません。水と混ぜて固まる接着剤という意味では、同じ原理なんですね。
「モルタル」とは
モルタルは、セメントに砂と水を混ぜ合わせて作った建築材料です。セメントだけでは使えませんが、砂を加えることで柔軟性のある素材になります。
モルタルの配合は、一般的にセメント1に対して砂3の割合で混ぜます。水の量を調整することで、硬さを変えることができるので、さまざまな用途に対応できるんです。
柔軟性がある:砂利が入っていないので、コンクリートに比べて扱いやすく、細かい作業に向いています。レンガやブロックを積むときの接着剤として使われることが多いです。
表面の仕上げに最適:壁や床の表面を滑らかに整えるのに適しています。タイルの下地としても使われます。
耐火性に優れている:火に強い性質があるため、住宅の外壁材としても人気があります。
防水性は低い:モルタル自体には防水性がないため、外壁や床に使う場合は、表面に防水塗装や撥水加工を施す必要があります。
我が家の外壁はモルタル仕上げなのですが、少しひび割れが入りやすいのが気になるところです。でも、質感が温かみがあって、おしゃれな雰囲気を出せるのが気に入っています。定期的なメンテナンスが大切だということを、実際に暮らしてみて実感しました。
「コンクリート」とは
コンクリートは、セメントに砂、砂利(または砕石)、そして水を混ぜ合わせて作った建築材料です。モルタルよりも大きな骨材が入っているのが特徴で、建物の土台や道路、橋などに使われる頑丈な素材です。
コンクリートの配合は、一般的にセメント1、砂3、砂利6の割合で混ぜます。砂利のサイズが大小混ざっていると、より密度が高く強度のあるコンクリートになります。
圧縮強度が非常に高い:砂利が入っているため、重い荷重に耐えられる強度があります。建物の基礎や柱、ビルの構造部分に使われます。
大規模な工事に使われる:駐車場の土間や道路、ダムなど、広い面積で強度が求められる場所に最適です。
流し込んで成形する:柔らかい状態で型枠に流し込み、固まるまで待つという使い方が一般的です。
表面がざらざらしている:砂利が含まれているため、表面は粗く、そのままでは美観が劣ります。そのため、上からモルタルで仕上げることも多いです。
近所の家が建て替えをしていたとき、基礎工事でコンクリートをミキサー車から流し込んでいる様子を見ました。あの大量のコンクリートが固まって、家全体を支える土台になるのかと思うと、改めてその強度の高さに驚きますよね。
3つの材料の違いを比較
ここまで説明してきた3つの材料を、もう一度わかりやすく整理してみましょう。
セメントは粉末状の原料で、単体では使えません。水を加えると化学反応で固まる性質があり、モルタルやコンクリートを作るための基本材料です。石灰石や粘土から作られています。
モルタルは、セメント+砂+水で作られた建築材料です。砂利が入っていないので柔軟性があり、細かい作業や表面の仕上げに向いています。レンガやタイルの接着、壁の仕上げなどに使われます。
コンクリートは、セメント+砂+砂利+水で作られた建築材料です。砂利が入っているため強度が非常に高く、建物の基礎や駐車場、道路などの構造物に使われます。
簡単に言えば、セメントは材料そのもの、モルタルは細かい作業用、コンクリートは頑丈な構造物用、という使い分けができます。
料理に例えると、セメントは小麦粉、モルタルはクッキー生地、コンクリートはパン生地のようなイメージです。材料が増えるごとに、できるものや強度が変わってくるんですね。
セメント・モルタル・コンクリートって何が違うの?
— ハンカチ (@koutyakizoku) May 23, 2020
配合が違います😊 pic.twitter.com/8DXjfVJHDv
それぞれの用途と使用例
実際の建築現場やDIYでは、どのように使い分けられているのか、具体例を見ていきましょう。
セメントの使用例
セメント単体で使うことはほぼありません。現場に粉末状態で持ち込んで、必要に応じてモルタルやコンクリートを作る材料として使います。袋入りで購入し、保管しやすいのがメリットです。
モルタルの使用例
レンガやブロックを積み上げるときの接着剤として使います。レンガの間にモルタルを挟んで固定することで、しっかりした塀や花壇を作れます。
タイルを貼るときの下地としても活躍します。床や壁にモルタルを塗ってから、その上にタイルを接着します。
外壁の仕上げ材として使われることも多いです。おしゃれな質感が出せるので、カフェ風の住宅などでよく見られます。
コンクリートの表面を滑らかに整える仕上げ塗りにも使われます。
コンクリートの使用例
住宅の基礎部分に使われます。家全体を支える土台なので、強度の高いコンクリートが必須です。
駐車場の土間コンクリート施工に使われます。車の重さに耐えられる強度が必要なので、コンクリートが最適です。
道路や橋、ダムなどの大規模な構造物にも使われます。公共工事で見かける灰色の構造物は、ほとんどがコンクリートです。
階段やアプローチの土間にも使われます。広い面積を一度に固められるのが便利です。
私の実体験として、玄関前の小さな段差を解消するために、自分でモルタルを練って補修したことがあります。ホームセンターでセメントと砂を買って、バケツで混ぜ合わせたのですが、水の量の調整が意外と難しくて、固すぎたり柔らかすぎたりと苦労しました。最終的には、ソフトクリームぐらいの固さを目指すといいと教えてもらい、なんとか成功しました。小さな補修ならモルタルが扱いやすくて便利ですよ。
強度の違いはどうなの?
多くの人が気になるのが「どれが一番強いの?」という点だと思います。結論から言うと、一概には比較できません。なぜなら、それぞれ使う目的が違うからです。
圧縮強度で比べるとコンクリートが最強
重いものを支える力、つまり圧縮強度で比べれば、コンクリートが圧倒的に強いです。砂利という大きな骨材が入っているため、建物の基礎や構造物に使えるほどの強度があります。
柔軟性や作業性ならモルタル
一方で、細かい作業や表面を滑らかに仕上げたいときは、モルタルの方が扱いやすいです。強度が必要ない場所では、モルタルの柔軟性が活きてきます。
セメントは単体では強度なし
セメント単体は粉末なので、強度という概念がありません。あくまで材料としての役割です。
つまり、「強い=優れている」ではなく、「適材適所で使い分ける」ことが大切なんですね。
DIYで使う場合の選び方
自宅で小さな工事やDIYをしたいとき、どれを選べばいいのか迷いますよね。簡単な判断基準をお伝えします。
インスタントセメントが便利
最近は、あらかじめ配合されている「インスタントセメント」や「インスタントモルタル」が売られています。水を加えて混ぜるだけで使えるので、初心者にはおすすめです。
小さな補修ならモルタル
壁のひび割れ補修やタイルの剥がれ直し、ちょっとした段差の解消など、小規模な作業にはモルタルが向いています。
駐車場や土間ならコンクリート
広い面積を固めたい場合や、車が乗るような場所にはコンクリートが必要です。ただし、大量に必要な場合は、生コン業者に依頼する方が現実的です。
少量ならホームセンターで購入
DIYレベルなら、ホームセンターで少量ずつ購入できます。セメントと砂を別々に買って自分で配合することも可能ですが、手間を考えると配合済みの製品が便利です。
我が家では、庭の花壇をレンガで囲むときにインスタントモルタルを使いました。水を入れて混ぜるだけだったので、素人の私でも簡単に扱えて、きれいに仕上がりました。大量に使う予定がないなら、配合済みの製品が失敗も少なくておすすめです。
どこまでもマニアックに。床タイルは接着セメントやその他接着剤を使用して施工されていて、剥がれ落ちたタイルの下地からは、くし目コテの跡が露出するはずなので再現。あとコンクリートの中の異形鉄筋も再現。更に床コンクリートにCBがモルタル固定された形跡も再現。 pic.twitter.com/pNSBAAeSBE
— タケポン@Takehisa Shimotani (@takepon407) July 31, 2021
メリットとデメリット
それぞれの材料にはメリットとデメリットがあります。使う場面に応じて理解しておくと、失敗が減りますよ。
セメントのメリット
粉末状なので保管や運搬がしやすく、必要な分だけ使えます。配合を自由に調整できるので、プロの現場では重宝されます。
セメントのデメリット
単体では使えないため、必ず砂や砂利と混ぜる必要があります。配合の知識がないと、適切な強度が出せません。
モルタルのメリット
柔軟性があって扱いやすく、細かい作業に向いています。耐火性が高く、壁の仕上げ材として人気があります。
モルタルのデメリット
防水性が低いので、外壁に使う場合は防水処理が必要です。ひび割れが入りやすいため、定期的なメンテナンスが求められます。
コンクリートのメリット
圧倒的な強度があり、建物の基礎や構造物に使えます。耐久性が高く、長持ちします。
コンクリートのデメリット
表面がざらざらしているので、そのままでは美観が劣ります。大量に必要な場合は費用がかさみ、DIYでは扱いにくいです。
価格と入手方法
実際に購入するとなると、価格も気になりますよね。
セメントは、25kgの袋で500円から1,000円程度です。ホームセンターで購入できます。
モルタルは、配合済みのインスタントモルタルが25kgで1,000円から1,500円程度です。こちらもホームセンターで手に入ります。
コンクリートは、現場で混ぜる場合はセメント、砂、砂利を別々に購入します。大量に必要な場合は、生コン業者に依頼する方が効率的で、1立方メートルあたり1万5,000円から2万円程度です。
DIYなら、少量のインスタント製品が便利で経済的です。大規模な工事を考えているなら、専門業者に相談する方が安全で確実ですよ。
よくある質問
Q1. セメントだけで固まりますか?
いいえ、セメント単体では固まりません。セメントは粉末状の材料で、水を加えると化学反応を起こしますが、砂や砂利といった骨材と混ぜないと、建築材料としての強度や機能は得られません。セメントはあくまで「接着剤の役割を果たす材料」であり、モルタルやコンクリートを作るための基本素材です。
Q2. モルタルとコンクリート、どちらが強いですか?
圧縮強度で比べると、コンクリートの方が強いです。コンクリートには砂利という大きな骨材が含まれているため、建物の基礎や道路など、重い荷重に耐える必要がある場所に適しています。一方、モルタルは柔軟性があり、細かい作業や表面の仕上げに向いています。どちらが優れているというよりは、用途によって使い分けることが大切です。
Q3. DIY初心者でも扱えますか?
はい、小規模な作業であれば初心者でも扱えます。ただし、いくつかポイントがあります。まず、配合済みのインスタントセメントやインスタントモルタルを使うと、水を加えて混ぜるだけなので失敗が少なくなります。水の量を調整して、ソフトクリームぐらいの固さを目指すのがコツです。また、作業前に必ず手袋やマスクを着用し、肌や目を守ってください。大規模な工事や強度が求められる場所は、プロに依頼する方が安心です。
Q4. モルタルは防水性がありますか?
いいえ、モルタル自体には防水性がありません。モルタルは耐火性や耐久性に優れていますが、水を通しやすい性質があります。外壁や床に使用する場合は、表面に防水塗装や撥水加工を施すことで、水の浸入を防ぐことができます。特に屋外で使用する場合は、防水処理を忘れないようにしましょう。
Q5. コンクリートの表面がざらざらしているのはなぜですか?
コンクリートには砂利(骨材)が含まれているため、表面がざらざらとした質感になります。この粗い表面は強度には優れていますが、見た目や触り心地が良くないため、そのままでは美観が劣ります。そのため、仕上げとしてコンクリートの表面にモルタルを塗って滑らかに整えることが多いです。用途に応じて、適切な仕上げを選ぶことが大切です。
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「セメント」「モルタル」「コンクリート」の違い、わかっていただけたでしょうか。最後にもう一度、ポイントを整理しますね。
セメントは、粉末状の材料で、単体では使えません。モルタルやコンクリートを作るための基本素材です。
モルタルは、セメントに砂と水を混ぜたもので、柔軟性があり細かい作業に向いています。レンガやタイルの接着、壁の仕上げなどに使われます。
コンクリートは、セメントに砂、砂利、水を混ぜたもので、強度が非常に高いです。建物の基礎や駐車場、道路などの構造物に使われます。
この3つは見た目が似ていても、材料と用途がまったく違います。DIYや住宅のリフォームを考えるときは、それぞれの特徴を理解して、適材適所で使い分けることが大切です。
私自身、最初は違いがよくわからず、失敗したこともありましたが、実際に使ってみることで理解が深まりました。小さな補修から始めて、少しずつ慣れていくのがおすすめですよ。ぜひこの記事を参考に、安全で楽しいDIYライフを楽しんでくださいね。