「官僚」と「国家公務員」という言葉をニュースや新聞でよく見かけますが、この二つの違いについて、正確に答えられるでしょうか？実は私も子供の頃から、この二つの言葉がよく分からなくて混同していました。特に国会中継を見ていると、大臣の隣にいる人たちは何者なのか、政治家なのか官僚なのか、とても気になっていたんです。
大学で政治学を学び、後に公務員関係の仕事に携わった経験から言えるのは、「官僚」と「国家公務員」は似ているようで実は明確な違いがある、ということです。この記事では、そんな疑問を持つ皆さんに向けて、分かりやすく違いを解説していきます。
官僚と国家公務員の基本的な関係性
まず最初に理解しておきたいのは、官僚とは、中央行政機関で各省にかかわる国家公務員のことです。つまり、官僚は国家公務員の一部なのです。
公務員は、国家公務員と地方公務員の2つに大別されます。国家公務員の中には、様々な職種の人がいます。例えば、税務署の職員、入国管理局の職員、自衛隊員、海上保安庁の職員、そして中央省庁で働く職員などです。
この中で、特に中央省庁（外務省、財務省、厚生労働省など）で働く職員のうち、政策の企画・立案に関わる重要なポジションにいる人たちを「官僚」と呼んでいます。
私が公務員試験の勉強をしていた時に先輩から教わったのは、「すべての官僚は国家公務員だけれど、すべての国家公務員が官僚ではない」ということでした。これが理解の鍵になります。
官僚とは何か？詳しく解説
官僚の定義と役割
一般的には国家公務員の中でも、国家公務員総合職試験で採用され、中央官庁の中で一定以上のポストにある人たちを指します。
官僚の主な仕事内容は以下の通りです：
政策の企画・立案 国の基本的な政策を考え、具体的な制度として形にしていきます。例えば、「少子高齢化対策をどうするか」「環境問題にどう取り組むか」といった国家レベルの課題に対する解決策を考えるのが官僚の仕事です。
法案の作成 政治家が「こんな法律が必要だ」と言った時に、実際にその法律の条文を書くのは官僚です。法律の専門知識や過去の事例を踏まえて、実効性のある法案を作成します。
国会での答弁サポート 国会中継でよく見る光景ですが、大臣が答弁している時に隣で資料を渡したり、耳打ちしたりしている人たちが官僚です。専門的な質問に対して、正確な情報を提供する役割を担っています。
予算編成 国の年間予算をどこにどれだけ配分するかを決める作業にも、官僚が深く関わっています。
官僚になるための条件
官僚になるには、「国家公務員総合職試験」に合格する必要があります。この試験は非常に難易度が高く、官僚の多くが難関大学出身者であるほどです。
私の大学時代の友人で官僚になった人がいますが、彼は大学1年生の頃から公務員試験の準備を始めて、毎日図書館で勉強していました。それほど狭き門なのです。
国家公務員とは何か？幅広い職種を包括
国家公務員とは、国が雇用している公務員全般を指します。その範囲は非常に広く、以下のような職種が含まれます：
中央省庁の職員
- 官僚（総合職）
- 一般職員（国家公務員一般職試験合格者）
- 専門職員（国税専門官、労働基準監督官など）
その他の国家公務員
- 自衛隊員
- 海上保安官
- 入国審査官
- 税務署職員
- 刑務官
- 皇宮護衛官
- 国立大学の教職員
- 裁判所職員
実際に私が公務員試験を受けた時、同じ会場には将来官僚を目指す人もいれば、税務署で働きたい人、入国管理局で働きたい人など、様々な志望を持つ人がいました。みんな「国家公務員」を目指していましたが、目指している職種は全く違っていたのです。
官僚と国家公務員の具体的な違い
1. 範囲の違い
国家公務員：国に雇われているすべての公務員（約27万人） 官僚：国家公務員の中でも、中央省庁で政策立案に関わる幹部・幹部候補（約数千人）
2. 試験の違い
国家公務員になるための試験
- 国家公務員総合職試験（官僚向け）
- 国家公務員一般職試験
- 国家公務員専門職試験（国税専門官、労働基準監督官など）
- 自衛官候補生試験
- その他各種試験
官僚になるための試験
- 国家公務員総合職試験のみ
3. 仕事内容の違い
国家公務員の仕事 職種によって大きく異なります。税務署職員なら税金の徴収、入国審査官なら出入国の管理、自衛隊員なら国防など、それぞれ専門分野に特化した業務を行います。
官僚の仕事 国の施策にかかわり、国会への対応、公務員の人事、出先機関や外郭団体等への指導・監督などが任務です。国全体の政策を考える、より戦略的で広範囲な業務が中心となります。
4. キャリアパスの違い
一般的な国家公務員 基本的に同じ職種内でのキャリアアップが中心。税務署職員なら税務署内で昇進していくパターンが多いです。
官僚 省庁内での異動はもちろん、他省庁への出向、地方自治体への出向、民間企業や国際機関への派遣など、非常に多様なキャリアパスがあります。
実際の使い分け方と具体例
ニュースでの使い分け
「国家公務員」を使う場面
- 「国家公務員の給与が引き上げられました」
- 「国家公務員採用試験の申込みが始まりました」
- 「国家公務員の定年延長について議論されています」
「官僚」を使う場面
- 「官僚が作成した法案が国会に提出されました」
- 「財務省の官僚が予算案について説明しました」
- 「外務省の官僚が外交交渉を行いました」
日常会話での使い分け
私の経験では、以下のような使い分けをしています：
友人が「公務員になりたい」と言った時 「国家公務員？地方公務員？どんな仕事がしたいの？」と聞きます。この時の「国家公務員」は、国で働く公務員全般を指している場合が多いです。
友人が「政策を作る仕事がしたい」と言った時 「官僚を目指すの？それなら総合職試験を受けないといけないね」と答えます。
テレビで国会中継を見ている時 「あの大臣の後ろにいる人たちは官僚だね」と家族に説明します。この場合、「国家公務員」と言うと範囲が広すぎて、具体的に誰を指しているか分からなくなってしまいます。
キャリア官僚の給与が大企業より低かったら大問題なんだわ。優秀な頭脳をコンサルとかコンサルとかコンサルみたいな業界に取られるのは国益を損なう。
— いりや (@IlyasvielF) July 23, 2025
よくある間違いと注意点
1. 「官僚＝悪い人」という誤解
テレビなどで官僚が批判的に報道されることがありますが、官僚自体は国の政策を実行するために必要不可欠な存在です。政治家が決めた方針を具体的な政策として実現するのが官僚の役割なのです。
2. 「すべての中央省庁職員＝官僚」という誤解
中央省庁で働いている人でも、一般職で採用された人や専門職で採用された人もいます。これらの人は厳密には「官僚」ではありませんが、同じ省庁で働く国家公務員です。
3. 「国家公務員＝エリート」という誤解
国家公務員の中には、確かに難関試験を突破した人もいますが、様々な職種があり、必ずしもすべてがエリートというわけではありません。地域に根ざして働く国家公務員もたくさんいます。
キャリア官僚とノンキャリア官僚について
官僚の中でも、さらに細かい分類があります。
キャリア官僚（総合職）
キャリア官僚とは、国家公務員総合職試験に合格して、中央省庁に勤務している国家公務員です。将来の幹部候補として、政策の企画・立案の中核を担います。
ノンキャリア官僚（一般職）
ノンキャリア官僚は、国家公務員一般職試験に合格し、中央省庁に採用された人々を指します。キャリア官僚をサポートしながら、実務を担当することが多いです。
私が省庁で働いていた時の経験では、新人の頃の仕事内容には大きな違いはありませんが、数年経つと役割に違いが出てくることが多かったです。
政治家との違いも理解しよう
混同しやすいのが、政治家と官僚の違いです。
政治家
- 選挙で選ばれる
- 政策の方向性を決める
- 任期がある
- 政治的責任を負う
官僚
- 試験で採用される
- 政策を具体化する
- 基本的に定年まで勤務
- 行政的責任を負う
国会中継を見ていると、大臣（政治家）が答弁し、その隣で官僚がサポートしている光景をよく見ます。この連携があって初めて、国の政策が実現されるのです。
旦那さんの職場、扶養の手続き時間かかりすぎなんだけど… 2月半ばには全ての書類提出してるのに、今だに保険証こなくて体外周期なのに毎回現金でお支払いきついんだけど😂かかる時は20万持ってても足りないやん…国家公務員の扶養手続きてこんなもんなの？
— ゆかみ (@_yukami1210) March 14, 2024
よくある質問
Q1. 官僚になるには東大出身じゃないとダメ？
官僚の多くが難関大学出身なのは事実ですが、東大出身でなければならないという決まりはありません。私の知る限り、様々な大学出身の官僚がいます。ただし、国家公務員総合職試験は非常に難易度が高いため、相応の学習能力と努力が必要です。
Q2. 国家公務員と地方公務員はどちらが偉い？
「偉い」という表現は適切ではありませんが、役割が違います。国家公務員は国全体の政策を担当し、地方公務員は地域住民に直接サービスを提供します。どちらも社会にとって重要な役割を果たしています。
Q3. 官僚の年収はどのくらい？
官僚の給与は公務員給与表に基づいて決められており、年齢や役職によって異なります。一般的には民間企業の同程度の職種と比べて、特別に高いというわけではありません。
Q4. 女性の官僚はいるの？
もちろんいます。近年は女性官僚の割合も増加傾向にあり、重要なポジションに就く女性官僚も多くなっています。
「公務員」の人気商品をレビュー件数順に楽天でチェック！まとめ
官僚と国家公務員の違いをまとめると：
国家公務員：国に雇われているすべての公務員の総称。税務署職員、自衛隊員、入国審査官、中央省庁職員など幅広い職種を含む。
官僚：国家公務員の中でも、特に中央省庁で政策の企画・立案に関わる総合職の職員。国家公務員の一部であり、より限定的な概念。
つまり、「官僚⊆国家公務員」という関係性です。官僚は国家公務員に含まれる特別な存在なのです。
この違いを理解していると、ニュースを見る時や公務員を目指す時に、より正確に状況を把握できるようになります。私自身、この違いを理解してから、政治や行政に関するニュースがより興味深く感じられるようになりました。
どちらも国民のために働く大切な職業です。将来、公務員を目指す方は、自分がどのような仕事をしたいのかを明確にして、適切な試験を選択することが大切ですね。
