ファッションの世界には、似ているようで異なる用語がたくさんありますよね。特に海外ブランドの用語は、カタカナで表記されると違いがわかりにくく感じることもあります。今回は、エルメスのマルジェラ期で話題になった「ヴァルーズ」と、よく混同される「スキッパー」について、その違いを詳しく解説していきます。
どちらも襟元のデザインに関する用語ですが、実は全く違う意味を持っているんです。私も最初は同じものだと思っていましたが、調べてみると興味深い違いがありました。この記事を読めば、ファッション通の友人との会話でも自信を持って使い分けができるようになりますよ。
ヴァルーズ(Vareuse)とは何か
マルジェラのヴァルーズ届きました! pic.twitter.com/dWmXW6cetL
— 睡眠障害 (@egunyuuka) August 19, 2024
ヴァルーズ(Vareuse)は、もともとフランス語で「船員や漁師の仕事着」を意味する言葉です。具体的には、船で働く人たちが着用していた、ゆったりとした上着のことを指していました。
このヴァルーズが現代ファッションで注目されるようになったのは、マルタン・マルジェラがエルメスのデザイナーを務めていた1997年から2004年の期間(マルジェラ期)に発表したアイテムがきっかけです。
マルジェラのヴァルーズには、深く切り込まれたV字型の襟元が特徴的で、この深いVネックには実用的な理由がありました。「Vネックのセーターを被ると髪が崩れる」というモデルの一言から生まれたデザインで、着脱時に髪型が乱れるのを防ぐ工夫が施されているんです。
私が初めてヴァルーズという言葉を聞いたのは、ヴィンテージショップでエルメスのアイテムを見ていた時でした。店員さんが「これはマルジェラ期のヴァルーズですね」と説明してくれて、その独特な襟元のデザインに一目惚れしたのを覚えています。
スキッパーとは何か
一方、スキッパー(Skipper)は、船長を意味する英語から来ている用語です。ファッションの世界では、スキッパーシャツやスキッパー襟と呼ばれ、船員の制服からインスピレーションを得たデザインを指します。
スキッパーシャツの特徴は、襟元が開いていて、まるでポロシャツのような見た目をしていることです。ただし、ポロシャツとは違って、襟の形状や開き方に独特の特徴があります。
スキッパーデザインは、もともと船員の実用的な制服として生まれたものですが、現在では女性のファッションアイテムとして人気を集めています。特に春夏のカジュアルウェアとして親しまれており、涼しげで上品な印象を与えてくれます。
私の友人も、夏になるとよくスキッパーシャツを着ていて、「涼しいし、きちんと感もあるから重宝している」と話していました。確かに、Tシャツよりも上品で、ブラウスよりもカジュアルという絶妙なバランスが魅力的です。
ヴァルーズとスキッパーの主な違い
デザインの違い
ヴァルーズとスキッパーの最も大きな違いは、襟元のデザインです。
ヴァルーズは、深く切り込まれたV字型の襟元が特徴で、胸元が大きく開いています。この深いVネックによって、優美なドレープが生まれ、独特の存在感を放ちます。特にマルジェラのヴァルーズは、シンプルでありながらも唯一無二のフォルムを持っています。
スキッパーは、船員の制服をモチーフにした襟の形状で、開襟シャツのような見た目をしています。襟元の開き方はヴァルーズほど深くはなく、どちらかというと控えめな印象です。
起源と歴史の違い
両者の起源も大きく異なります。
ヴァルーズは、フランスの船員文化から生まれた実用的な仕事着が起源です。その後、マルタン・マルジェラによってファッションアイテムとして再解釈され、現代のラグジュアリーファッションの世界で注目を集めるようになりました。
スキッパーは、英語圏の船長(Skipper)の制服からインスピレーションを得ており、よりカジュアルなファッションアイテムとして発展してきました。現在では、特に女性向けのトップスとして人気があります。
使用される素材とブランドの違い
ヴァルーズは、特にエルメスのマルジェラ期において、カシミヤやシルクなどの高級素材を使用したアイテムとして知られています。これらのアイテムは、クオリティとコンフォートの完全なバランスを追求しており、非常に上質な仕上がりとなっています。
スキッパーシャツは、より幅広いブランドで展開されており、コットンやリネンなどの日常的な素材を使用することが多いです。カジュアルからビジネスカジュアルまで、様々なシーンで活用できる実用性を重視したアイテムです。
それぞれの特徴と魅力
ヴァルーズの特徴
ヴァルーズの最大の魅力は、その洗練されたシルエットと実用性の両立にあります。深いVネックによって首元がすっきりと見え、着脱も楽に行えます。また、レイヤードアイテムとしても優秀で、大きめの襟のシャツやコートのインナーとして重ね着することで、その真価を発揮します。
マルジェラのヴァルーズは、ユニセックスで着用できるデザインも魅力の一つです。男女問わず、上品で知的な印象を与えてくれるアイテムとして愛され続けています。
スキッパーの特徴
スキッパーシャツの魅力は、その汎用性の高さにあります。カジュアルなデニムとの組み合わせから、オフィススタイルまで幅広いシーンで活用できます。また、襟元の開き具合が程よく、上品さを保ちながらもリラックス感のある着こなしを楽しめます。
春夏シーズンには特に重宝するアイテムで、一枚で着てもサマになりますし、ジャケットのインナーとしても活躍してくれます。
実際の着こなし方の違い
ヴァルーズの着こなし
ヴァルーズは、その独特のフォルムを活かした着こなしがポイントです。深いVネックを生かして、ネックレスなどのアクセサリーを合わせると、より洗練された印象になります。
レイヤードスタイルでは、インナーとして着用することで、コーディネート全体に奥行きを与えてくれます。特に、襟の大きなシャツやコートとの重ね着は、マルジェラが意図したスタイリングの一つです。
私も実際にヴァルーズ風のアイテムを着てみたことがありますが、普通のVネックとは違った上品さがあり、着ているだけで背筋が伸びるような気持ちになりました。
スキッパーの着こなし
スキッパーシャツは、よりカジュアルで親しみやすい着こなしが可能です。ボタンの開け具合によって印象を変えることができ、きちんと感からリラックス感まで調整できるのが魅力です。
夏場には一枚で着用し、涼しげな印象を演出できます。また、カーディガンやジャケットのインナーとしても使いやすく、オフィスカジュアルにも適しています。
ファッション用語としての位置づけ
ヴァルーズの現在の意味
現代のファッション用語としてのヴァルーズは、主にエルメスのマルジェラ期のアイテムを指すことが多くなっています。これは、マルジェラが船員の仕事着をラグジュアリーファッションとして再解釈し、大きな成功を収めたためです。
ヴィンテージファッション愛好家の間では、「マルジェラ期といえばヴァルーズ」とまで言われるほど、代表的なアイテムとして認識されています。
スキッパーの現在の意味
スキッパーは、より一般的なファッション用語として定着しており、多くのブランドでスキッパーシャツが展開されています。基本的に春夏向けの婦人服デザインとして位置づけられることが多く、カジュアルからビジネスカジュアルまで幅広いシーンで活用されています。
購入時の注意点と見分け方
ヴァルーズを購入する際の注意点
ヴァルーズ、特にエルメスのマルジェラ期のアイテムを購入する際は、真贋の見極めが重要です。人気アイテムであるため、偽物も多く流通しています。信頼できるヴィンテージショップや専門店での購入をおすすめします。
また、ヴァルーズは着脱しやすいよう設計されていますが、深いVネックのため、インナーの選び方に注意が必要です。適切なインナーを合わせることで、上品な着こなしを楽しめます。
スキッパーシャツを購入する際の注意点
スキッパーシャツは比較的手に入りやすいアイテムですが、襟の形状や開き具合がブランドによって異なります。自分の好みや着用シーンに合わせて選ぶことが大切です。
また、素材によって印象が大きく変わるため、コットンのカジュアルなものから、シルクの上品なものまで、用途に応じて選び分けると良いでしょう。
可愛いし涼しそうだし着回しきく感じのスキッパーブラウス。綺麗めなベイクルーズ系好きな人にも良さそう.ᐟプチプラでこれはアリ……◎🍨 pic.twitter.com/lI3Mt7fRSK
— 泳 (@eieiyongswim) June 6, 2025
ファッション初心者でもわかる見分け方
ヴァルーズとスキッパーを見分ける一番簡単な方法は、襟元の開き方を確認することです。
ヴァルーズは、胸元まで深く開いたV字型の襟が特徴です。まるで深いVネックセーターのような開き方をしており、着脱しやすさを重視した機能的なデザインになっています。
スキッパーは、船員の制服のような襟の形をしており、開襟シャツに近い見た目をしています。ヴァルーズほど深くは開いておらず、より控えめで上品な印象を与えます。
実際に店頭でアイテムを見る機会があれば、この襟元の違いをチェックしてみてください。一度違いを理解すれば、簡単に見分けることができるようになります。
エルメス・マルジェラ期における特別な意味
エルメスのマルジェラ期(1997-2004年)において、ヴァルーズは特別な位置を占めています。マルタン・マルジェラは、伝統的なエルメスのクラフツマンシップに、自身の前衛的なデザイン哲学を融合させました。
その結果生まれたヴァルーズは、単なる船員の仕事着を超えて、現代ファッションの名作として語り継がれています。シンプルでありながらも、着る人の個性を引き出す力を持ったアイテムとして、今なお多くのファッション愛好家に愛され続けています。
私がヴィンテージショップで初めてマルジェラ期のヴァルーズを手に取った時、その質感の良さと独特のシルエットに驚きました。カシミヤ100%の滑らかな手触りと、計算し尽くされたカッティングは、さすがエルメスとマルジェラのコラボレーションだと感じました。
現代におけるそれぞれの活用法
ヴァルーズの現代的な着こなし
現代でヴァルーズを着こなす際は、そのミニマルなデザインを活かしたスタイリングがおすすめです。レイヤードアイテムとして活用し、シンプルなシャツやタートルネックの上に重ねることで、洗練された印象を演出できます。
また、アクセサリーとの相性も抜群で、ネックレスやスカーフなどを合わせることで、より個性的なスタイリングを楽しめます。
スキッパーシャツの現代的な着こなし
スキッパーシャツは、その汎用性を活かした着回しが魅力です。一枚で着用する場合は、ボトムスとのバランスを考えて、スキニーパンツやタイトスカートと合わせると、全体のシルエットがきれいに決まります。
オフィスカジュアルとしては、ジャケットのインナーに使用することで、きちんと感を保ちながらも親しみやすい印象を与えることができます。
ファッション業界での評価と影響
ヴァルーズの影響
マルジェラのヴァルーズは、ファッション業界に大きな影響を与えました。実用性とデザイン性を両立させたこのアイテムは、その後多くのデザイナーにインスピレーションを与え、類似したデザインのアイテムが各ブランドから発表されるようになりました。
特に、「機能美」という概念を体現したアイテムとして、ファッション学生やデザイナーの間で研究対象となることも多く、現代ファッションデザインの重要な参考例として位置づけられています。
スキッパーの普及
スキッパーシャツは、より大衆的なファッションアイテムとして普及しました。多くのファストファッションブランドでも展開されており、手軽に船員風のスタイルを楽しめるアイテムとして親しまれています。
その親しみやすさと実用性から、働く女性のワードローブには欠かせないアイテムの一つとなっており、ビジネスシーンでも活用されています。
マルジェラ期のエルメス
— ひびき (@koracorra) November 18, 2019
ヴァルーズ pic.twitter.com/cUGzDuchJa
素材と価格帯の違い
ヴァルーズの素材と価格
エルメスのマルジェラ期のヴァルーズは、カシミヤやシルクなどの高級素材を使用しており、非常に高価なアイテムです。現在でもヴィンテージ市場では高値で取引されており、状態の良いものは数十万円から数百万円の価格がつくこともあります。
この高価格は、使用されている素材の品質と、マルジェラとエルメスという二つの名門の組み合わせによる希少性が理由です。
スキッパーシャツの素材と価格
スキッパーシャツは、より手頃な価格帯で購入できるアイテムです。コットンやリネンなどの一般的な素材を使用したものが多く、数千円から数万円程度で購入できます。
ブランドによって品質や価格に差がありますが、比較的気軽に購入できるのがスキッパーシャツの魅力の一つです。
どちらを選ぶべきか
ヴァルーズがおすすめの人
特別なアイテムを求めている人や、ファッションにこだわりを持っている人には、ヴァルーズがおすすめです。投資価値もあり、長く愛用できるアイテムとして満足度が高いでしょう。
また、ミニマルで洗練されたスタイルを好む人にも、ヴァルーズの持つ独特の存在感は魅力的に映るはずです。
スキッパーシャツがおすすめの人
日常的に使いやすいアイテムを探している人や、様々なシーンで活用できるトップスが欲しい人には、スキッパーシャツがおすすめです。手頃な価格で購入でき、コーディネートの幅も広いため、ワードローブの定番アイテムとして活躍してくれます。
ファッション初心者の方も、まずはスキッパーシャツから始めて、船員風のスタイルに慣れてみるのも良いでしょう。
お手入れ方法の違い
ヴァルーズのお手入れ
高級素材を使用したヴァルーズは、専門的なお手入れが必要です。特にカシミヤやシルク素材のものは、クリーニング店での丁寧な処理が推奨されます。
家庭でお手入れする場合は、手洗いまたはデリケート洗いのコースを使用し、型崩れしないよう注意深く扱う必要があります。
スキッパーシャツのお手入れ
スキッパーシャツは、一般的なシャツと同様のお手入れで十分です。コットンやリネン素材のものは、通常の洗濯機での洗濯が可能で、日常的なメンテナンスは比較的簡単です。
ただし、襟の形を保つために、アイロンをかける際は襟元の形状に注意して仕上げることが大切です。
よくある質問
Q1. ヴァルーズとスキッパーは同じ意味ですか?
いいえ、ヴァルーズとスキッパーは全く違う意味の言葉です。ヴァルーズはフランス語で船員の仕事着を意味し、現在では主にエルメスのマルジェラ期のアイテムを指します。スキッパーは英語で船長を意味し、船員の制服をモチーフにしたシャツのデザインを指します。
Q2. どちらの方が高価ですか?
一般的には、ヴァルーズの方が高価です。特にエルメスのマルジェラ期のヴァルーズは、高級素材を使用し、希少価値も高いため、非常に高額で取引されています。スキッパーシャツは、より幅広い価格帯で展開されており、手頃な価格のものも多く見つけることができます。
Q3. 初心者はどちらから始めるべきですか?
ファッション初心者の方には、まずスキッパーシャツから始めることをおすすめします。価格が手頃で、様々なシーンで活用でき、お手入れも比較的簡単です。スキッパーシャツに慣れてから、より特別なアイテムとしてヴァルーズに挑戦してみると良いでしょう。
Q4. 男性でも着用できますか?
ヴァルーズは、特にマルジェラのデザインではユニセックスで着用できるものが多く、男性にもおすすめです。スキッパーシャツは基本的に女性向けのデザインとして展開されることが多いですが、最近では男性向けのスキッパーシャツも登場しています。
Q5. 季節はいつ着るのが適していますか?
両方とも基本的には春夏向けのアイテムです。ただし、ヴァルーズはレイヤードアイテムとしても優秀なため、秋冬のインナーとしても活用できます。スキッパーシャツは、主に暖かい季節の一枚着として活躍します。
「スキッパー」の人気商品をレビュー件数順に楽天でチェック!まとめ
ヴァルーズとスキッパーは、どちらも船員の服装からインスピレーションを得たファッション用語ですが、その意味と特徴には大きな違いがあります。
ヴァルーズは、フランス語で船員の仕事着を意味し、現在では主にエルメスのマルジェラ期の深いVネックが特徴的なアイテムを指します。一方、スキッパーは英語で船長を意味し、船員の制服をモチーフにした開襟シャツのようなデザインを指します。
価格帯も異なり、ヴァルーズは高級素材を使用した投資価値のあるアイテム、スキッパーシャツは日常使いしやすい手頃なアイテムという位置づけです。
どちらを選ぶかは、あなたのファッションスタイルや予算、使用シーンによって決めると良いでしょう。まずは手頃なスキッパーシャツから始めて、船員風スタイルの魅力を感じてみてはいかがでしょうか。そして、特別なアイテムが欲しくなったら、ヴァルーズに挑戦してみるという順序もおすすめです。
ファッションは言葉の意味を正しく理解することで、より深く楽しむことができます。今回学んだヴァルーズとスキッパーの違いを、ぜひ今後のファッションライフに活かしてくださいね。