最近、職場や人間関係でよく聞くようになった「ガスライティング」「ホワイトハラスメント」「マイクロアグレッション」。どれも人を傷つける行為なのですが、似ているようで実は全く違う意味を持っています。
私もママ友との関係や、以前働いていた職場で「あれ、これってもしかして…」と感じた経験があります。言葉にできないモヤモヤを抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、これら3つの言葉の違いを、小学生でもわかるくらい優しく、具体的な例文とともに解説していきます。自分や大切な人を守るために、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
ガスライティングとは
ガスライティングは巧妙だ。事実をねじ曲げ、あなたの感覚を疑わせ、周囲から切り離す。最初は小さな違和感、やがて“自分がおかしい”という結論に誘導される。
— サイコパスラボ🧠🔬 (@psychopathy18) September 27, 2025
覚えておいてほしいのはひとつ。あなたが壊れていく原因は、あなたではない。相手の“支配欲”だ。
ガスライティングとは、相手の記憶や判断を疑わせて、精神的にコントロールしようとする心理的虐待のことです。「それ、あなたの勘違いだよ」「そんなこと言ってないよ」と繰り返し否定されることで、被害者は「自分がおかしいのかも」と思い込んでしまいます。
この言葉の語源は、1944年の映画『ガス燈(Gaslight)』から来ています。映画の中で、夫が妻を精神的に追い詰めていく様子が描かれていて、そこから心理的虐待を表す言葉として広まりました。
ガスライティングの特徴
ガスライティングの最大の特徴は、被害者の現実認識を狂わせることです。加害者は意図的に嘘をついたり、事実を否定したりして、被害者に「自分の記憶や感覚が間違っている」と思わせます。
具体的には次のような行動が見られます。
- 明らかに起きた出来事を「そんなことなかった」と否定する
- 被害者の感情を「考えすぎ」「気にしすぎ」と軽視する
- わざと情報を隠したり、嘘の情報を与えたりする
- 周りの人に「あの人はおかしい」と吹き込んで孤立させる
私の友人も、以前の職場で上司から「そんな指示出してないよ」と何度も言われ、メモを取っていたにも関わらず自信を失っていきました。最終的に「自分の記憶力が悪いのかも」と悩むようになってしまったそうです。これがまさにガスライティングの典型例でした。
ガスライティングの例文
例文1(職場) 上司:「先週の会議で、このプロジェクトは君が担当すると決まったよね」 部下:「え、でも私は聞いていませんが…」 上司:「ちゃんと言ったよ。君が聞いてなかっただけでしょ。最近ちゃんと話聞いてる?大丈夫?」
例文2(家庭) パートナー:「昨日、あなたが約束破ったから怒ってるんだよ」 相手:「約束なんてしてないよ。また被害妄想じゃない?そういうところ、直した方がいいよ」
このように、事実をねじ曲げて相手を混乱させ、「自分が悪い」と思い込ませるのがガスライティングです。
ホワイトハラスメントとは
先日「色々チャレンジしたくて残業したい部下がいるのに、残業しばりで働かせられないのが残念」ーある課長の一言。これは ホワイトハラスメントとも言います。善意やルールが本人の意欲を奪うこともあります。難しい時代ですね。
— ハラスメント対策コンサルタント 伊藤明美 (@sakurajinzaiito) September 29, 2025
ホワイトハラスメント(ホワハラ)とは、上司や先輩が「負担をかけないように」と過剰に配慮することで、逆に部下や後輩の成長機会を奪ってしまう行為のことです。
2024年に放送されたドラマがきっかけで注目されるようになった、比較的新しい言葉です。一見すると優しさに見えるのですが、実は相手の可能性を信じていない態度の表れでもあります。
ホワイトハラスメントの特徴
ホワハラの特徴は、善意から始まっているけれど、結果的に相手を傷つけているという点です。ハラスメントを恐れるあまり、適切な指導や挑戦的な仕事を与えなくなってしまうのです。
よくある行動パターンには次のようなものがあります。
- 難しい仕事を任せず、簡単な作業ばかり与える
- 失敗を恐れて、チャレンジの機会を奪う
- 必要なフィードバックや指導を避ける
- 残業させないために仕事を取り上げる
私自身、職場復帰した時に「子育て大変でしょ」と気を遣われすぎて、やりがいのある仕事から外されたことがあります。気遣いは嬉しかったのですが、同時に「自分は戦力外なのかな」と寂しく感じたのを覚えています。
ホワイトハラスメントの例文
例文1(職場) 上司:「この新しいプロジェクト、君には負担が大きいと思うから、私がやっておくね」 部下:「いえ、私もやってみたいのですが…」 上司:「でも大変だよ?無理しなくていいから。簡単な資料作成だけお願いね」
例文2(職場) 先輩:「今日は定時で帰ってね。この仕事は明日私がやっておくから」 後輩:「いえ、今日中に仕上げたいので残業させてください」 先輩:「ダメダメ、残業させたら私がパワハラだって言われちゃうから」
このように、相手の意思を無視した過剰な配慮が、ホワイトハラスメントの本質です。
マイクロアグレッションとは
マイクロアグレッションは!
— 水野敦之/自閉症教育・支援コンサルタント (@bouzan70) September 13, 2025
自分の考え > 相手の考え・状態への想像と関心
マイクロアグレッションではないのは?
自分の考え < 相手の考え・状態への想像と関心
マイクロアグレッションとは、日常的に行われる小さな差別や偏見のことです。悪気なく言った一言が、相手を傷つけたり、否定的なメッセージを伝えたりしてしまいます。
「マイクロ(小さな)」という言葉から「些細なこと」と誤解されがちですが、受ける側にとっては全く些細ではありません。日常的に繰り返されることで、大きな心の傷になっていきます。
マイクロアグレッションの特徴
マイクロアグレッションの最大の特徴は、発言者が差別だと気づいていないという点です。むしろ褒めているつもりだったり、何気ない会話のつもりだったりします。
典型的な例には以下のようなものがあります。
- 性別による固定観念(「女性ならではの細やかさだね」)
- 外見に基づく決めつけ(「ハーフなの?英語得意でしょ」)
- 年齢による偏見(「若いのにしっかりしてるね」)
- 職業への思い込み(女性医師に「看護師さん」と呼びかける)
私も学生時代、「お母さんなのに勉強してすごいね」と何度も言われました。言っている人に悪気はないのですが、「お母さんは勉強しないのが普通」という前提が隠れていて、モヤモヤした気持ちになったものです。
マイクロアグレッションの例文
例文1(職場) 「女性なのに管理職なんてすごいね!やっぱり独身だから頑張れるの?」 → 女性は管理職に向いていない、家庭があると仕事は頑張れないという偏見が隠れています。
例文2(日常会話) 「○○さんって、見た目は怖そうだけど、話すと優しいんだね」 → 外見で人を判断する偏見と、「怖い」という決めつけが含まれています。
例文3(職場) 「この仕事、若い人の方がセンスあるから、お願いしていい?」 → 年齢による能力の決めつけが含まれています。
このように、一見普通の会話に見えても、差別的な意味が隠れているのがマイクロアグレッションです。
3つの違いを比較
それでは、ガスライティング、ホワイトハラスメント、マイクロアグレッションの違いをわかりやすく整理してみましょう。
ガスライティング
- 目的:相手を精神的にコントロールする
- 加害者の意図:明確な悪意がある
- 特徴:相手の現実認識を狂わせる
- 影響:被害者は自分を疑い、精神的に追い詰められる
ホワイトハラスメント
- 目的:相手に配慮しようとする(結果的に失敗)
- 加害者の意図:善意から始まる
- 特徴:過剰な配慮で成長機会を奪う
- 影響:やりがいを失い、自信を失っていく
マイクロアグレッション
- 目的:(特になし、無意識の行動)
- 加害者の意図:差別している自覚がない
- 特徴:日常的な言葉に偏見が隠れている
- 影響:繰り返されることで心の傷が深まる
最も大きな違いは、加害者の意図です。ガスライティングは明確な悪意があり、ホワハラは善意が裏目に出たもの、マイクロアグレッションは無自覚な偏見です。
それぞれの対処法
これらの行為に遭遇したとき、どう対処すればよいのでしょうか。
ガスライティングへの対処法
ガスライティングは深刻な心理的虐待なので、早めの対応が重要です。
- 記録を残す:会話の内容、指示された内容をメモや録音で記録しましょう
- 信頼できる第三者に相談:家族、友人、専門家に状況を話してください
- 距離を置く:可能であれば、加害者から物理的・心理的に離れましょう
- 専門家のサポートを受ける:カウンセラーや弁護士に相談することも検討してください
私の友人は、上司とのやり取りを全てメールで記録するようにしたことで、自分の記憶が正しいことを確認できるようになりました。
ホワイトハラスメントへの対処法
ホワハラは善意から来ているので、率直なコミュニケーションが大切です。
- 自分の希望を明確に伝える:「成長したいので、挑戦的な仕事もお願いします」
- 具体的な提案をする:「このプロジェクトに参加させてください」
- 定期的に話し合う:キャリア面談などで自分の目標を共有する
もし伝えても改善されない場合は、人事部門や別の上司に相談するのも一つの方法です。
マイクロアグレッションへの対処法
マイクロアグレッションは無自覚なことが多いので、教育的なアプローチが効果的です。
- 気づきを促す:「その言い方は、○○という意味に聞こえます」と優しく指摘
- 具体的な影響を伝える:「そう言われると傷つきます」と自分の気持ちを表現
- 代替案を示す:「○○と言っていただけるとありがたいです」
ただし、自分が傷ついているのに無理に指摘する必要はありません。安全だと感じる範囲で対応しましょう。
よくある質問
Q1. ガスライティングとモラハラの違いは何ですか?
ガスライティングはモラハラの一種ですが、より巧妙です。モラハラは「お前はダメだ」と直接的に否定することが多いのに対し、ガスライティングは「それは君の勘違いだよ」と現実認識そのものを歪めようとします。被害者が自分を責めるように仕向ける点が特徴的です。
Q2. ホワイトハラスメントは本当にハラスメントなのですか?
はい、結果的に相手を傷つけている場合はハラスメントになります。善意であっても、相手の意思を無視して成長機会を奪うことは、その人の可能性を否定していることになります。大切なのは、相手が何を望んでいるかを尊重することです。
Q3. マイクロアグレッションを受けたとき、その場で指摘すべきですか?
必ずしもその場で指摘する必要はありません。相手との関係性や状況によって判断してください。安全だと感じるなら優しく指摘する、難しい場合は信頼できる人に相談する、または距離を置くなど、自分を守ることを最優先にしましょう。
Q4. 自分が無意識にマイクロアグレッションをしていないか心配です
その意識を持つこと自体が大切な第一歩です。性別、年齢、外見、職業などで相手を決めつけていないか、言葉の背後に偏見が隠れていないか、常に意識するようにしましょう。もし指摘されたら、防衛的にならず、学びの機会として受け止めることが大切です。
Q5. 職場でこれらの行為を見かけたら、どうすればいいですか?
第三者として介入することは勇気がいりますが、とても重要です。被害者に「あなたは間違っていない」と伝えることで救われることもあります。また、人事部門やコンプライアンス窓口に相談することも検討してください。見て見ぬふりをしないことが、健全な職場環境を作ります。
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「ガスライティング」「ホワイトハラスメント」「マイクロアグレッション」は、どれも人を傷つける行為ですが、その性質は大きく異なります。
ガスライティングは明確な悪意を持って相手の現実認識を狂わせる心理的虐待です。「あなたの記憶が間違っている」と繰り返し言われることで、被害者は自分を疑い、精神的に追い詰められていきます。
ホワイトハラスメントは善意から始まるものの、過剰な配慮によって相手の成長機会を奪ってしまう行為です。「あなたのため」という言葉の裏で、実は相手の可能性を信じていない態度が隠れています。
マイクロアグレッションは無自覚に行われる日常的な差別や偏見です。「褒めているつもり」の言葉の中に、実は相手を傷つける固定観念が含まれています。
これらの違いを理解することで、自分が被害に遭ったときに適切に対処できるようになります。また、知らず知らずのうちに加害者にならないよう、日頃から言動に気をつけることができます。
人間関係において、お互いを尊重し、相手の気持ちに寄り添うことの大切さを、改めて考えるきっかけになれば嬉しいです。もし今、つらい状況にある方がいたら、一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家に相談してくださいね。