「料理を作る」「船を造る」「未来を創る」……同じ「つくる」という言葉なのに、漢字が違うと何だか雰囲気が変わりますよね。
私も以前、子供の学校のお便りで「夢を○○子供たち」と書こうとしたとき、「作る」「造る」「創る」のどれが正しいのか迷ってしまいました。辞書を引いても「どれも同じような意味じゃない?」と混乱した記憶があります。
実はこの3つの漢字、読み方は同じでも意味や使い方にはちゃんとした違いがあるんです。今回は、この3つの「つくる」の違いを、具体的な例文とともにわかりやすく解説していきます。これを読めば、もう使い分けに迷うことはありませんよ!
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「制作」「作る」「生成」の違いは?意味や使い分けを解説
「作る」とは
『何かパッと作るね〜』の朝ごはんがこれで、更に美人なんだからそりゃ好きだろ。 pic.twitter.com/i2T44qqooz
— アルコ&ピース平子 (@hirako_yuki) October 21, 2025
「作る」は、有形物・無形物を問わず、何かをつくるときに最も一般的に使われる表記です。小さなものや抽象的なものをつくる場合に広く使うことができます。
公的な文書では、「造る」や「創る」ではなく「作る」を使うのが望ましいとされています。迷ったときは「作る」を選んでおけば間違いありません。
「作る」の使用例
- 料理を作る
- お菓子を作る
- 野菜を作る
- 棚を作る
- 手紙を作る
- チャンスを作る
- ルールを作る
- 記録を作る
- 組織を作る
- 罪を作る
このように、「作る」は日常生活で最も頻繁に使われる「つくる」なんです。形のあるものから、形のない概念や状態まで、幅広く対応できる万能選手と言えますね。
私も普段の生活では、ほとんどの場合「作る」を使っています。子供と一緒におやつを作ったり、晩ご飯を作ったり、週末の予定を作ったり……日常のあらゆる場面で「作る」が登場しますよね。
「造る」とは
#どこかの誰かに刺さればそれで良い
— Yu-Yu-Zenith Works. (@yu_zenith) October 13, 2025
乗りたいバイクを造るだけ pic.twitter.com/H2YGTYkzXB
「造る」は、大規模で工業的な大きいものや、形のあるものに対して使われます。建築物や船舶、工場で製造されるものなど、大掛かりなものをつくる場合に使用します。
「造」という漢字には、材料を組み合わせて、しっかりとつくりあげるというニュアンスがあります。
「造る」の使用例
- 船を造る
- ビルを造る
- 神社を造る
- 庭園を造る
- 工場でビールを造る
- お酒を造る
- 味噌を造る
- 広場を造る
- ダムを造る
- 橋を造る
ただし、酒・味噌・醤油などは「製造」「醸造」というように「造る」を使いますが、家庭でつくる味噌などは規模が小さいため「作る」になります。また、ロボットは「人造人間」と訳されるように「造る」ですが、子供用玩具のロボットは形も規模も小さいため「作る」です。
つまり、同じものでも規模によって使い分けが変わるんですね。これは知っておくと便利なポイントです!
「創る」とは
誠実な仕事は、未来を創る。
— アーティエンス迫間(はざま)│組織変革ファシリテーター (@tohaza_atc) October 20, 2025
不誠実な仕事は、未来を閉ざす。
「創る」には、何かを始める、ゼロからつくりあげるといったニュアンスがあります。新しくつくり出されたものに使う漢字です。
もともと常用漢字では「創」を「つくる」とは読ませませんでしたが、平成22年に常用漢字表が改定され、「創る」を「つくる」とする読み方が加えられました。比較的新しい使い方なんですね。
「創る」の使用例
- 未来を創る
- 文化を創る
- 芸術作品を創る
- 短歌を創る
- 小説を創る
- 新しい雑誌を創る
- 会社を創る(創業の意味で)
- イノベーションを創る
- 価値を創る
- 世界を創る
「創る」は、芸術やイノベーション、新しい取り組みなど、これまでになかった画期的なものをつくるときに使われます。創造性や独創性を強調したいときにぴったりの漢字です。
私が子供の進路について話すとき、「自分の道を創っていってほしい」という表現を使うことがあります。ただ道を進むのではなく、自分で新しい道を切り開いていくというニュアンスを込めたいときは、「創る」がしっくりくるんですよね。
3つの「つくる」の使い分けポイント
ここまでの説明をまとめると、次のように使い分けることができます。
「作る」を使う場合
- 小規模なものや日常的なものをつくるとき
- 形のないもの、抽象的なものをつくるとき
- 迷ったときの基本の選択肢として
「造る」を使う場合
- 大規模な建築物や構造物をつくるとき
- 工業的に製造されるものをつくるとき
- 形のある大きなものをつくるとき
「創る」を使う場合
- これまでになかった新しいものを生み出すとき
- 芸術作品や文化的なものをつくるとき
- 創造性や独創性を強調したいとき
とはいえ、実際の使い分けには微妙な判断が必要な場合もあります。例えば、「学校をつくる」という場合、建物という意味であれば大きな有形物なので「造る」ですが、理想の学校という意味であれば無形のものなので「作る」になります。新しい学校という創立の意味の場合は、私的文章ならば「創る」か「作る」、公用文ならば「作る」と書きます。
実際に使ってみよう!例文で理解を深める
それでは、具体的な例文を見ながら、それぞれの「つくる」がどのように使われるか確認してみましょう。
「作る」を使った例文
- 明日の夕飯は何を作ろうかな。
- 子供たちと一緒に工作で貯金箱を作った。
- 新しいチームを作って、プロジェクトを進めることになった。
- 毎朝ジョギングする習慣を作りたい。
- 資料を作るのに時間がかかってしまった。
これらは全て日常的によく使う場面ですね。料理や小物、組織、習慣、書類など、私たちの生活に密着したものばかりです。
「造る」を使った例文
- 港に新しい大型客船を造ることが決まった。
- この神社は江戸時代に造られたものだ。
- 地元の酒蔵で日本酒を造る工程を見学した。
- 市の中心部に大きな公園を造る計画がある。
- 最新技術を使って橋を造る工事が始まった。
これらは規模が大きく、専門的な技術や設備が必要なものばかり。「造る」という漢字を見ると、何だか壮大なイメージが湧いてきませんか?
「創る」を使った例文
- アーティストとして新しい表現を創り続けたい。
- この会社は10年前に創られた新しい企業だ。
- 子供たちが自分で考えて未来を創る力を育てたい。
- 革新的なサービスを創ることで社会を変える。
- 伝統と革新を融合させた文化を創っていく。
「創る」を使うと、何か新しいものを生み出す、イノベーティブな雰囲気が出てきますね。将来の夢や目標について語るときに使うと、前向きで力強い印象を与えられます。
「手づくり」は「手作り」?「手造り」?
ところで、「手づくり」と書く場合、「手作り」と「手造り」のどちらが正しいのでしょうか?
弁当やケーキなど機械を使わないで手でつくる小さいものが対象であるため、基本的には「手作り」と書きます。しかし、ハムや家具、お酒など、ふつうは手作りしないもの(機械で製造したり、大量生産するもの)が対象の場合は、「手造り」と書かれます。
つまり、手づくりクッキーは「手作り」、手づくりビールは「手造り」という使い分けになるわけですね。これは知っておくと便利な豆知識です!
私も以前、子供の学校のバザーでお菓子を出品するとき、「手作りクッキー」と書きました。でも、もし地元の醸造所が手づくりのお酒を販売するなら「手造り日本酒」と表記するのが適切なんですね。
よくある質問
Q1. どの「つくる」を使えばいいか迷ったときは、どうすればいいですか?
迷ったときは、基本的に「作る」を選んでおけば問題ありません。「作る」は最も一般的な表記で、有形物・無形物を問わず広く使えます。公的な文書や正式な書類では、特に「作る」を使うのが望ましいとされています。どうしても迷ったら「作る」、これを覚えておきましょう!
Q2. 芸術作品をつくる場合、「作る」と「創る」のどちらが正しいですか?
芸術作品の場合、どちらも使えますが、ニュアンスが少し異なります。単純に作品を製作する場合は「作る」でも問題ありませんが、独創性や創造性を強調したい場合、これまでにない新しい表現を生み出す場合は「創る」を使うとより適切です。例えば「絵を作る」は一般的な製作、「新しいアート作品を創る」は創造的な活動というニュアンスになります。
Q3. 会社を「つくる」場合、どの漢字を使うべきですか?
会社を設立する、組織を立ち上げるという意味なら「作る」または「創る」が適切です。「創業」という言葉があるように、新しく会社を起こす場合は「創る」を使うこともできます。ただし、公用文では「作る」を使います。一方、会社の建物(社屋)を建てるという意味なら「造る」になります。文脈によって使い分けが変わるので注意が必要です。
Q4. 家庭でお味噌を作る場合、「作る」と「造る」のどちらですか?
家庭で作る場合は「作る」です。味噌屋さんや工場で製造する場合は「味噌造り」と「造る」を使いますが、家庭で少量を手作りする場合は規模が小さいため「味噌作り」と「作る」を使います。同じ味噌でも、規模によって使い分けが変わるんですね。これはお酒や醤油などでも同じ考え方です。
Q5. 「創る」は公式文書で使えますか?
「創る」という表記は、平成22年の常用漢字表改定で追加された比較的新しい読み方です。私的な文章では自由に使えますが、公用文や正式な文書では「作る」を使うのが一般的です。ただし、「創業」「創刊」「創作」など、熟語として定着しているものは使われています。迷ったら「作る」を選ぶのが無難です。
「言葉」の人気商品をレビュー件数順に楽天でチェック!まとめ
「作る」「造る」「創る」の3つの「つくる」は、それぞれ次のような違いがあります。
**「作る」**は、日常的に最もよく使われる万能な表記です。小さなものや形のないもの、抽象的なものをつくるときに使います。料理、手芸、書類、組織、習慣など、私たちの生活に密着したあらゆる「つくる」に対応できます。迷ったときは「作る」を選べば間違いありません。
**「造る」**は、大規模で工業的なもの、形のある大きなものをつくるときに使います。建築物、船舶、工場で製造される酒や醤油などが該当します。ただし、同じものでも家庭で小規模に作る場合は「作る」になるので、規模で判断することが大切です。
**「創る」**は、これまでになかった新しいものを生み出すとき、創造性や独創性を強調したいときに使います。芸術作品、イノベーション、新しい文化や価値の創出などに適しています。ただし、公用文では「作る」を使うのが一般的です。
私自身、この違いを意識するようになってから、文章を書くときの表現の幅が広がったと感じています。特に子供の成長について書くとき、「自分の未来を創る」という表現を使うと、ただ「作る」と書くよりも力強く、前向きなメッセージが伝わるんですよね。
とはいえ、日常会話ではそこまで厳密に使い分ける必要はありません。基本は「作る」を使い、大きなものや創造的なものについては「造る」「創る」を使う、というくらいの感覚で十分です。この記事を参考に、少しずつ自然に使い分けられるようになってくださいね!

